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封建的業界の規制緩和導入の失敗。

ベンチャー革命2005年12月18日

                           山本尚利

タイトル: 耐震偽装:拒否できない日本



1.耐震偽装事件を予言していた「拒否できない日本」

 政治評論家の森田実氏が絶賛する関岡英之著「拒否できない日本」(文春新書、2004)では今、話題の耐震偽装事件がすでに予言されています。関岡氏が本著を上梓するきっかけは、1998年の建築基準法の改正とは、あの悪名高い米国の対日要求書「年次改革要望書」の要求に屈服した結果ではないかという疑惑にあります。本著には驚くべき記述があります。1998年、日本政府は半世紀ぶりに建築基準法を改正したそうですが、それまでの仕様規定が、性能規定に変更されたとのこと性能規定とは、「国民の生命、健康、財産の保護のための必要最低限のもの」だそうです。関岡氏は、この「必要最低限」は「必要最大限」の間違いではないかと、はじめは自分の目を疑ったそうです。この改正(規制緩和)によって、建築業界には国民の生命無視の業界エゴ的なコストダウン意識が瞬く間に蔓延していったと思われま

す。今日の耐震偽装事件は、その延長上で起こるべくして起きたといえます。

 一方、国土交通省の建設官僚は、今回の耐震偽装事件が1998年の建築基準法改正に根本原因があることを国民が気付くのを何より恐れているでしょう。先の、国会証人喚問で姉歯設計技師が、偽装を始めたのは1998年と証言しましたが、建築基準法の改正時期とピタリ一致します。



2.規制緩和に伴うチェリーピッキングの怖さ

 上記の建築基準法の規制緩和は、マイナス面ばかりではありません。今回の耐震偽装事件の黒幕といわれている内河氏が、コストダウンを売りに建設コンサルビジネスを伸ばしたのは当然です。一介の中小企業であったヒューザーは広くて安いマンション販売で業績を伸ばし、大手デベロッパーと互角で競争できるようになりました。そして東京駅前に本社を構えるほどの今太閤企業となりました。また、熊本県の一介の中小建設会社であった木村建設が、なんと東京進出を果たし、熊本県一の高額納税企業に成長できたのもこの規制緩和のおかげでした。さらに、建築検査の民営化が認められ、イーホームズのような若手ベンチャー企業にビジネスチャンスが回ってきたのです。これらの事実は、規制緩和のプラス面です。

このように規制緩和は確かにベンチャー活性化を促進します。しかしながら、規制緩和は一方で極めて危険な副作用を内包しています。それが「チェリーピッキング」です。規制緩和のおいしいところだけいただく悪徳業者が出現するリスクです今回の耐震偽装事件はまさにその典型です。特に、建設業界は、日本の中で政官財の癒着がもっともひどい封建的業界です。耐震偽装事件は起きて当然でした。民主主義モラルがもともと欠落している封建国日本の社会に欧米型規制緩和を無条件に受け入れたらどうなるかを如実に示してくれました



3.規制緩和と自己責任意識は不可分である

 日本の活性化のために規制緩和や公益事業の民営化は、一般論としては決して悪いことではないと筆者は思います。ただ、規制緩和には、その前提条件として国民の意識改革が絶対に必要です。つまり国民の「自己責任意識」の徹底です。イラクで日本人人質事件が起きたとき、小泉内閣はこのときだけ「自己責任」を言い出して、日本中で大議論が起きました。規制緩和社会では私的利益追求のために競争原理が働くので、悪徳業者がはびこり、個人は常に、騙されるリスクが高まります。広くて安いマンションには、安い分だけリスクが高まっていると考えるのが、規制緩和社会における国民の基本的な自己責任意識です。米国がなぜベンチャー社会を実現させているかといえば、米国では多くの国民に自己責任意識が徹底していて、住宅購入などで取引する相手企業を、世間の評判で判断せず、己の自己判断でその企業を評価・識別する習慣が身についているからです。彼らは、取引先が名もないベンチャー企業であっても己の眼力でその企業の真贋の目利きができるのです。ところが、お上意識の抜けきれない多くの日本人には、このような目利き能力が育っていない。だから、悪徳業者に簡単に騙されてしまうのです。しかしながら、規制緩和社会では、私的取引で騙された人々を公的資金(税金)で救済するのは、根本的な大間違いです。その姑息な政策の本質は決して被害国民のためではなく、1998年の建築基準法の改正が、国民の安全を無視するものであったことが国民にばれることが、建設官僚にとってまずいからということでしょう。今回の耐震偽装詐欺の被害者を公的資金で救済するという国家政策は、医者が苦しむ患者を麻薬で治療するに等しい悪魔の処方箋です。日本の国民のみならず、政官財の指導者までもが、米国から輸入している規制緩和の本質がまったくわかっていない。この日本人のお粗末な底の浅さは欧米の狡猾企業に見透かされて、またもや、われわれが彼らの次の餌食にされる原因をつくってしまいます。



3.解体不要の画期的処方箋の提案

 筆者はかつてプラントの耐震設計をやっていた経験があります。その経験から画期的提案をしたい。それは、耐震偽装の対象マンションとビジネスホテルに、有限要素法(FEM)による耐震構造解析法(コンピュータ・シミュレーション)を適用して、再計算することです。鉄筋コンクリート脚注構造とパネル壁を合体構造でモデル化して、もう一度、耐震解析する。そうすれば、構造計算上は有利となります。この解析結果を特例で尊重するならば、多くの震偽装ビルは、いちおう住民の強制退去をせずに救済できるはずです。もし、FEM解析しても強度不足であれば、外観は見苦しくなるが、H型鋼で外部補強すればよい。耐震偽装ビルをわざわざ、あわてて解体する必要はないと思います。ところで木村建設の施工物件で構造計算を手がけた、姉歯氏以外の設計事務所は、耐震パネルを考慮すれば、鉄筋量が少なくても耐震構造計算上はセーフとなると主張しています。この言い分は必ずしも間違っていない。ちなみに極限設計が常識の航空機は、機体を骨組み構造でモデル化して建築構造計算を適用すれば、構造安全上は、みんなアウトです。航空機をもし、建築基準法で設計したら、重くなりすぎて、空を飛ばないでしょう。



4.地震外力は複雑で気まぐれ

 一般的な静的震度外力による鉄筋量計算は、現実の複雑な地震外力に十分に対応できているとはいえません。そのために一般的には耐震構造計算には、一定の安全率がかかっています。その安全率は、まず鉄筋の許容強度(弾性強度)に含まれます。鉄筋は基準の許容強度を越えても、塑性変形を起こすだけで、簡単には破断しません。今回、悪徳業者が姉歯氏に鉄筋量をギリギリまで減らすよう強制していたのは、法的基準には多少安全代が含まれていることを知っていたからでしょう。悪徳業者の肩をもつつもりはありませんが、単純な手抜きの強要とはいささか異なるでしょう。脚注に固定される壁面パネルは耐震構造計算に含まないのも、安全率考慮のためです。一方、航空機やプラント構造物の構造計算で一般的なFEM構造解析ならば、建築構造物の一部を構成する壁面パネルも耐震壁として考慮できます。極限設計の必要な構造物では、パネルも強度部材に動員するため、FEM解析は不可欠です。さらにいえば、もし真剣に耐震安全性を考えるなら、実際の地震波を入力して動的構造解析シミュレーションすることが必要です。あらゆる構造物は固有振動数をもっています。これが問題です。一般的に地上構造物の低次固有振動数と、地震波の振動の主要成分は共振することが多いのです。さらに地震波には、水平動と垂直動があり、しかも短周期波動(高振動波)と長周期波動(長周期波)が存在します。この複雑怪奇な地震波動と構造物が運悪く共振すれば、どれほど鉄筋を増やしてもたいして効果はないでしょう。耐震強化のため構造物を単純に剛にすればよいというものでもありません。地震に限って鉄筋量の大小は五十歩百歩でしょう。高層ビルの耐震設計をマジメに実行したいならば、基本構造を鉄筋コンクリートではなく、鉄骨構造とすべきです。しかも、共振させないような構造設計をすべきです。場合によっては柔構造となります。この場合、大きく揺れるが倒壊しない。しかしながら、構造物の耐震設計でもっとも問題なのは、上部構造よりも、むしろ構造物基礎の耐震強度です。この部分の設計は、立地地域の設計地震係数よりも、立地の地盤条件に大きく影響されます。地震多発地域の関東地区でも、地盤の耐震強度に関しては、筆者の住む習志野台地と東京湾岸埋め立て地区では天と地ほどの差があります。単純な耐震設計ではいくら法的基準に達していても、本質的に決して安全とはいえません。 このように、魔物のような地震外力の特性を知れば、鉄筋量が法的基準に達していないからといって、すぐに、強制退去とか、解体、公的資金での救済云々とかいって騒ぐのは、無知のなせる過剰反応でしょう。結局、この過剰反応とは、監督官庁が、大地震が起きたとき、自分に責任が来ないようにするための逃げにすぎません。悪徳業者に騙されたお人好しのマンション購入住民はたまったものではありません。監督官庁がほんとうにマジメに耐震安全構造を考えているなら、高層マンションや高層ホテルは、水平せん断外力に弱い鉄筋コンクリート構造ではなく鉄骨柔構造を推奨するのが一番です。さらにマスコミ報道における大きな誤解は、鉄筋量をケチれば、建設コストが大きく下がると信じている点です。一般的に、このようなケチり方は、単なる目先の、ケチで姑息なコストダウン方法です。たいしたコストダウンにはならない。それよりは、鉄筋コンクリート構造を止めて鉄骨柔構造にチェンジした上で、コンピュータ・シミュレーションして安全設計したほうが、耐震設計上は抜本的コストダウンになると思います。このような柔構造は地震で大きく揺れますが倒壊せず、鉄筋コンクリートよりはるかに安全です。もちろん構造物の基礎がしっかり耐震設計されていることが大前提ですが・・・。



山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm





蛇足


仕様規定が性能規定に規制緩和策で変更になった。その結果、官僚は天下り先が確保でき。政治家は官へ口利きで献金と票が見込め。民間は性能面を追及すれば、コスト削減して儲けがでると判断したのであろう。また、発想の転換で、おっしゃるように、柔よく剛を制すと言われるが、耐震にも当てはまるかは疑問です・。?・基準を作ったのであるから、その基準を守るのがまずもって筋でしょう・。

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1 ■姉歯氏は、創価学会員

今、世間を騒がせている耐震偽装犯罪の姉歯建築士も創価学会員です。
そして、その尻拭いに税金を投入しようとしている北側国土交通大臣も創価学会員です。
創価学会の狂信者達は、どこまで身勝手なのでしょうか?
被害者の代表も創価学会員?という情報も読んだ覚えがあります。
創価学会の悪行もいい加減にして欲しいですね。

【参考ブログ】
創価大学出身政治家・北側国土交通大臣が公金を投入したがる理由とは!?
http://ameblo.jp/worldwalker2/entry-10006879677.html
必撮!勤め人 2005年 11月 29日 人命のデフレ(GRD)
http://artisan.exblog.jp/2032542

ついでに

オーストリアが創価学会(公明党)をカルト(セクト)に指定
http://www.lermanet.com/cisar/books/990913b.htm
チリ議会が創価学会(公明党)をカルトに指定
http://www.hrwf.net/html/chile2001.html
ベルギーが、創価学会(公明党)をカルトに指定
http://members.ozemail.com.au/~skyaxe/mahikari.htm

京都 相国寺・金閣寺・銀閣寺・承天閣美術館の公式ホームページ
http://www.shokoku-ji.or.jp/information/activity/shoseki/shoseki04.html
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