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ズビグネフ・ブレジンスキー

ブレジンスキー1977年
2002年


ズビグネフ・ブレジンスキー(ズビグニェフ・ブジェジニスキ)(Zbigniew Kazimierz Brzeziński, 1928年
3月28日
-)は、ポーランド
出身の政治学者
、戦略家。カーター
政権時の国家安全保障担当大統領補佐官


ワルシャワ
で生まれ、外交官の父の赴任に伴い1938年
カナダ
へ移住。マギル大学
卒業後、1953年にハーヴァード大学
より博士号取得。コロンビア大学教授として、共産主義圏の政治・外交の研究に従事するとともに、日米欧三極委員会の創設や民主党
のアドバイザーなど実務面でも行動力を発揮し、同様の経歴を持つヘンリー・キッシンジャー
と並び称されることが多い。


1976年
の大統領選挙においてカーターの外交政策アドバイザーを務め、カーター政権発足後に大統領補佐官(国家安全保障担当)に就任。政権内では、外交政策について、サイラス・ヴァンス
国務長官と対立することが多く、1979年のイラン
の米国大使館占拠事件の対応をめぐって、対立は決定的になった。結局、カーターの信任を勝ち取ったのはブレジンスキーで、ヴァンスは辞任することになった。その後も、戦略国際問題研究所顧問として「チェチェンに平和をアメリカ委員会」の共同代表を務めるなどアメリカの外交政策に一定の影響力を与える立場にある。




切込隊長 機能移転候補地(ただし更地)

http://d.hatena.ne.jp/kirik/


米中新冷戦時代の情報戦

 キッシンジャー以降の外交、とりわけ安全保障と経済政策決定の軸を担ってきたNSCの話。日本で言うならば外務省と内閣調査室と警察庁外事、防衛庁、それに経済産業省の一部を全部合わせたうえにシンクタンク機能までつけたような組織になってるのがNSC。実質的な閣僚級であり、大統領に対して直接重要政策の決定と、実行のイニシアチブまでも握っている頭脳の中枢と言っていい。

"Running the World" David Rothcopf

で、この本は批判されることも多い。大概は「そこまで重要な組織でもねえだろ」という話である。極端に言えば、平和の配当理論もソマリア失敗もアフガニスタンも最終的にNSCが国益の判断を見誤って米政界に多大な影響力を持つネオコン派の政策追認機関でしかなかったんじゃねえのということだ。日本以上に大物政治家が闇で握って政策を決める傾向の強いアメリカの場合、この手の超党派機関がそのときどきの政治的風向きに合わせて理屈を変えるのはありがちなことではある。

しかも、NSCの決定は多岐にわたる。安全保障と銘打ちながらも、昨今の中国によるユノカル買収にいち早く反応したのは、比較的早期にNSCが「中国は潜在的覇権国家」であるとしたことによる。米欧日三極という”世界新秩序”から米中対立という”新冷戦”へアメリカの長期戦略を提唱したのがほかならぬNSCだったからである。

そして、事実上決裂した対北朝鮮六カ国協議の修正を米朝と中朝の二本の二国間関係問題へと収斂させる作戦もNSCの意向と言われる。世界の紛争地帯の収拾や方向性を決めているのはNSCとやや誇大妄想気味に考えるのも問題だが、それらのパラメータの変化を受けて政策が揺らぐのは当の日本である。拉致問題は追いやられ、日中対立は実質的な米中防波堤という位置づけに否応なく向けられてブッシュJr政権の小泉追認、米日関係のなし崩し的強化という日本にとって重要な政策の影響を受ける際、日本にイニシアチブはあまり存在しない。

本書では、キッシンジャー→ブレジンスキー→スコウクロフト→レイク、そしてライスという外交イニシアチブを握り続ける閣僚級の大物政治家にNSCが与えてきた影響力、とりわけ長期の安全保障と経済外交のあり方について、とりあえず網羅してある。事実関係のひとつひとつは当たり前すぎることなのだが、それをNSCの戦略計画の策定という横串で貫いたとき、日本のなかの議論とはまた違った安全保障に対する議論が山ほど成立しうることを知ることになる。




日本軍事情報センター

-激動する世界の最新軍事情報を発信

http://www.kamiura.com/new7_2k2.html


イラク攻撃後は米軍の長期駐留もブレジンスキー元大統領補佐官 (読売 2002年7月27日 朝刊) ブレジンスキー氏はイラクが大量破壊兵器の査察に応じないなら、軍事攻撃が必要になるという。その効果的な査察体制作りに、攻撃の実否がかかっている。その際、軍事攻撃が行なわれた場合、地域全体が不安定になり、米軍のイラク長期駐留が必要になる。ただし紛争解決のメドもなし(長引けば)にイラク攻撃を始めれば、米国とイスラエルが共謀してアラブ世界に侵攻を始めたと映り、米国への反発が強くなるだろうと語った。


イスラム教の聖地サウジに米軍が駐留するより、イラク駐留は反発が少ないかもしれない。が、それはそれで第二次大戦後、日本に米軍が駐留したような温和な駐留状態にはならない。そのことで、さらなる大規模テロを引き起こす可能性があることも指摘しておくべきだ。


韋駄天迷宮  

情報迷宮 
http://www.idaten.to/meikyu/a081.html


ブレジンスキー一族と、トランスコーカサスのグレートゲーム


ブレジンスキーの地政学

カーター政権の安全保障顧問をしていたズビグニュー・ブレジンスキーは、『壮大なチェス盤』という著作と、『フォーリン・アフェアーズ』の最近のいくつかの号で、地理学を“地政学”という宗教に変形させている。

ブレジンスキーは、イギリスのハルフォード・マッキンダーや、ドイツのカール・ハウスホーファーが提唱したのと同じ地政学理論を提唱している。

 イギリスは、第一次世界大戦と第二次世界大戦を主導して、ユーラシアの経済統合を妨げた。マッキンダーとハウスホーファーの理論は、それを覆い隠すのに使われていたのである。

ブレジンスキーは、著作と商取引の中で、「トランスコーカサスと中央アジアを取り巻く“不安定ゾーン”が存在する」という考え方を奨励している。ブレジンスキーは、パーマストン卿や、“イスラム友愛団体”を創設したオックスフォード出のアル・アフガーニーが行っていたように、「種族や民族の不安定な状況を操作する」というホッブス的なアプローチを行っている。

 このような手法によって、第三次世界大戦は勃発する可能性があると思われる。

“グレートゲーム”は、特にイギリスとロシア、それと、傾きかけていたオスマン帝国の3ヶ国を、“不安定ゾーン”の支配権を巡って、お互いに断続的に戦わせた。ブレジンスキーはそのようなグレートゲームを再び復活させている。

また、それと同時に、ブレジンスキーの一族は、イギリスとアメリカの石油業界に加わり、石油、天然ガス、金など、“不安定ゾーン”で産出する重要な天然資源を、セシル・ローズ式に手に入れた。

ブレジンスキー地政学の中心的なテーマの一つは、かつてはソ連の領土だったこの地域を、新たに登場したロシアには支配させないということである。たとえ、軍事的にどんな結果が出たとしても。

ブレジンスキーは、トランスコーカサス、中央アジア以外の地域についても、狂気の地政学理論を展開している。

ブレジンスキーは、カーター政権内の一部の人たちに、“ウッディ・ザ・ウッドペッカー(森のキツツキ)”と呼ばれていた。そのような彼が、エドワード7世と相性の良かったハルフォード・マッキンダーと同じ“イギリス地政学”の流れにあることは明らかである。

イギリス地政学は、ユーラシア大陸が「科学と技術を発展させる原動力」として統合されるのを妨害するように構成されている。

ブレジンスキーは、『壮大なチェス盤』の中で、カール・ハウスホーファーの地政学を讃えている。ハウスホーファーは、親英派のトゥーレ・ソサエティの神秘主義者だった人物である。

ハウスホーファーの“ドラング・ナッハ・オーステン(東への勢力拡大)”という概念は、ヒトラーの『我が闘争』の中に、ハウスホーファーから直接取り入れられた。その概念は、“辺境の領主”としてのヒトラーのドイツが、“レーベンスラオム(生活空間)”とヒトラーが呼んだものを求めて、ソ連と戦うことを意図して使われていた。

ここにおいてもまた、地政学の目的とするものは、ユーラシア大陸が統合されて、発展するのを妨害することだったのである。

ブレジンスキーは、『壮大なチェス盤』において、第一次と第二次世界大戦のベースとなった地政学的観点と同様の観点から、次のテーマについて述べている。

すなわち、「トランスコーカサスと中央アジアを不安定に保ちつつ、また天然資源も獲得しながら、その上でロシアが再びその2つの地方に再び支配権を行使しようとするのを、いかにして妨害するか」というのである。


2004年10月27日  田中 宇

http://tanakanews.com/e1027america.htm


30年間アメリカの世界戦略を練ってきた民主党系のズビグニュー・ブレジンスキーがそうである

ブレジンスキーは10月25日のニューヨークタイムスに寄稿した。それによると、アメリカが今後採り得る世界戦略には2つある。イスラム教徒を敵視するテロ戦争の枠組みを続けてロシアや中国などと「反イスラム同盟」を組むか、もしくはイスラム世界に対する敵視をやめて、イラク再建問題・パレスチナ問題・イランの核兵器問題という中東の3つの問題を一本化し、アメリカとヨーロッパが協力して融和的に解決する国際協調体制の復活か、という選択肢である。前者は世界の多極化(分裂)とアメリカの孤立を招くので、後者の方が良いとブレジンスキーは主張している。

ブレジンスキーはパレスチナ問題について「レバノン、シリア、ヨルダンなどにいるパレスチナ難民のイスラエル領土内への帰還権は放棄させる」「イスラエルがヨルダン川西岸地区の占領地の中に作った入植地のうち、イスラエルとの境界線(グリーライン)に近い地域のものは、パレスチナ側に返還せずイスラエルに編入してしまう」といった、イスラエル国家の生存権を保障する現実的な条件を出している。パレスチナ問題が解決されれば、イスラエルでは右派が弱くなり、右派とつながったアメリカのネオコンも力を失う。そのため中道派のブレジンスキーは、イラク問題とパレスチナ問題を一体化したいのだろう。

ブレジンスキーが主張するパレスチナ和平案には「エルサレムを分割し、イスラエルとパレスチナ双方の首都とする」という項目がある。福音派キリスト教の伝道師パット・ロバートソンが「エルサレムの分割は許さない」と発言したのはこのことであろう。つまりブレジンスキーの提案は、すでにアメリカの中枢ではかなり検討が進んでいると思われる。 ブレジンスキーはフランスのフィガロ誌のインタビューの中で「ブッシュが再選されたら、ネオコンは自分たちのやり方が米国民に支持されたと主張し、次はイランを攻撃して政権転覆し、中東全域を混乱に陥れるだろう」と述べてケリーを支持するとともに「アメリカが中心的な役割を果たさなかったら、世界秩序は守れないだろう」と主張し、次期大統領は国内的には財政赤字を減らし、国際的にはアメリカに対する嫌悪感や不信感を消していく必要があると述べている。ブッシュがやった失策の尻めぐいをケリーがすべきだということである。

ブレジンスキーの主張は理想的だが、実現は難しいと私には思える。アメリカが自ら乱した世界秩序を元通りにする中道派の戦略は、おそらく部分的にしか成功しない。ブレジンスキーの分析が正しいとすれば、ブッシュが再選された場合、アメリカは中東をさらなる混乱に陥れつつ自滅する「ハードランディング」の道をたどって世界は一気に多極化する。ケリーが大統領になったら、ヨーロッパとの協調関係が模索されつつも、協調体制は完全には復活できないまま、世界はゆっくり多極化し、アメリカの縮小にやや歯止めがかけられる「ソフトランディング」の道をたどる可能性が大きい。その意味で11月2日の大統領選挙は、今後の世界のかたちを決める分岐点となりそうである。




書評:ほら貝http://www.horagai.com/www/book/rev/rev037.htm


ブレジンスキー 『大いなる失敗』

加藤弘一

ファシズム(国家社会主義)とマルクス主義(科学的社会主義)、どちらが自国民をたくさん殺したか?

ファシズムについてはナチスのユダヤ人虐殺が有名であり、犠牲者は6百万人に上るとされている。この数字は多目のものらしいが、他にジプシー、身体障害者らを大量殺害しているし、はるかに小規模とはいえ、イタリア、スペインでも自国民殺しをやっているので、すべてあわせて六百万人という数字はほぼ実情に近いものだろう。

科学的社会主義は?

ブレジンスキーは五千万人という数字を上げている。ブレジンスキーはキッシンジャーとならぶ国際政治の専門家だが、ポーランド出身という経歴からもわかるように、ソ連・東欧やマルクス主義の実態について、単なる文献的理解以上の理解をもっている。

単に国民を食べさせるためだけなら、あのような強権を発動する必要はなかった。科学的社会主義の科学性を証明するために無理を重ねた結果が、あの大虐殺と大飢饉であり、そのつけは慢性的な食糧不足として今日に暗い影を投げかけている。

ゴルバチョフはペレストロイカの一環として、事実上の農地私有を認めようとしているが、いくら個人所有になったからといって、農業技術の伝承は途絶えたうえに、気骨のある農民は家族ぐるみ根だやしにされてしまっている。一部の商品作物の増産は可能かも知れないが、肝腎の穀物増産は望み薄だろう。

中略

このようなスターリンの罪業が明らかになるたびに繰返される論法がある。いわく、五ヵ年計画の輝かしい成功のためには多少の犠牲はやむをえなかった。いわく、スターリン時代の重工業発展がなかったなら、ナチスの侵略によってさらに大きな犠牲が生まれただろう、云々。

ブレジンスキーはこうした弁護に決定的な反証をつきつける。

第一に、五ヵ年計画の成功は凡庸なものでしかなかったということ。20世紀初頭には同じようなレベルにあった日本やイタリアの方がはるかに少ない犠牲ではるかに高い経済成長を行なっているし、決定的なことは、「一八九〇年から一九一四年にかけての帝政ロシア時代の方が、あれだけ大きな犠牲をともなったスターリン時代よりも、高い経済成長を維持していた」。

第二に、ドイツに経済復興と再軍備の余裕をあたえたのは、他ならぬスターリンだったということ。ドイツの軍事技術の温存に重要な役割を果たしたラッパロ条約にはじまる両者の親密な関係は、ポーランド分割を決めた独ソ不可侵条約の締結にまで発展する。ヒトラーはレーニンやスターリンから多くの手法を学んでいるが、ソ連を事実上の協力者ともしていたのである。

だが、ソ連のナチス協力はスターリン一個人の気まぐれの結果ではない。本書の白眉は、マルクス主義(科学的社会主義)とファシズム(国家社会主義)の同質性を論証したくだりである。両者がともに全体主義の一形態であり、ドイツ観念論の系譜から生まれた双生児であることは、ハンナ・アレントや、最近ではグリュックスマンによって指摘されているが、ブレジンスキーはそうした研究の成果をこう要約する。

二十世紀における政治勢力としての共産主義の出現は、ファシズムとナチズムの台頭と切り離しては考えられない。実際、共産主義とファシズム、ナチズムは歴史的に関連があり、政治的にも類似している。いずれも、工業化時代の深刻な問題──何百万という根なし草のような労働者の出現、初期の資本主義がもたらす不公平、そこから生じた階級対立など──への答えとして生まれたものである。第一次大戦の結果、帝政ロシアとドイツ帝国の価値観と政治秩序が崩壊した。……こうした状況の下で、社会的な憎しみを社会正義という理念でくるみ、社会を救済する手段として、国家の組織された暴力を正当化するにいたるのである。

わたしなりに補足するなら、両者は疑似科学を最大限利用した点においても共通する。ファシズムは民族の純血性という過去の神話を人種遺伝学で補強したが、マルクス主義は共産社会という未来の神話に現実味を与えるために、
マルクス経済学という疑似経済学を科学の位置に祠りあげた。普遍的な真理という含意を持つ「科学的社会主義」という名称は、共産党だけが正しく、他党派の意見は非科学的で劣ったものだという独善をまねく。

疑似科学による党派的主張の神秘化は、党中央が最高の頭脳を結集して導きだした結論は科学的真理で、下部組織はただ党中央の方針を忠実に実践すればよく、科学的真理に反対する人間は頭がおかしいのだから、矯正労働収容所で精神を鍛えなおすか、それでもたてつくなら精神病院で飼い殺しにしろという結論にいきつく。優生学であきらかなように、科学は残虐行為を正当化するのだ。

「科学的社会主義」という洗脳的な名称は、民主主義の多元的価値観とは絶対にあいいれない。そして、その迷妄を押し通そうとしたところにソ連型社会主義や中国型社会主義、カンボジア型社会主義、北朝鮮式社会主義の悲惨が生まれた。そして、「科学的社会主義」という妄想に固執する限り、これからも形を変えた悲劇がくりかえされるだろう。失敗したのはソ連型社会主義で、マルクス主義自体には可能性があるなどという感傷趣味は本書によって根本から否定されたのである。


「オレンジ革命」と米ロの影

ジャン=マリー・ショーヴィエ(Jean-Marie Chauvier)

ジャーナリスト

訳・岡林祐子、斎藤かぐみ
 
http://www.diplo.jp/articles05/0501-2.html


かつてカーター大統領の安保担当補佐官を務めた米国人戦略家、ズビグニュー・ブレジンスキーは、大国ロシアの現在の「巻き返し」を当時から予見し、その準備を進めようとした。そこで決定的な役割を担うと考えられたのがウクライナである。「欧州・大西洋勢力圏の拡大には、ソ連から独立した新しい国々、中でもウクライナを取り込むことが不可欠だ」と彼は述べている(1)。我々は現在まさにそういう局面にある。迫りくる地政学的な変動は、ソ連とユーゴスラヴィアの崩壊以来、最も重要なものとなるだろう。フランスよりも広い国土と4800万人の人口を抱え、シベリア産天然ガスの9割を欧州に送り込む強力なパイプライン網を備えた国が、欧米の勢力圏に引き入れられることになるだろう。幕はすでに上がっている。


ライジング・チャイナをめぐる議論

2005年01月14日(金)

萬晩報通信員 園田 義明

萬晩報

http://www.yorozubp.com/0501/050114.htm


■トライラテラリストの主張

ブレジンスキーは米中の衝突は避けられると説く。その理由として、中国首脳が軍事的に米国に挑戦しようとは思っておらず、中国はあくまでも経済発展と大国としての仲間入りを目指すものであり、対立的な外交政策をとれば、経済成長を崩壊させ、中国共産党を脅かすことになるため、特に2008年の北京オリンピックと2010年の上海万博に向けては慎重な外交政策が優勢になるだろうとしている

確かに、中国の地域における役割が増し、その勢力範囲が発展すれば必然的に摩擦が生じる。また、米国のパワーが後退する可能性と日本の影響力の免れがたい衰退は、中国の地域における優越性を高めることになるものの、中国は米国に対抗できる軍事力は有しておらず、最小限の戦争抑止力程度でしかない。米国による封鎖によって石油の供給が止まれば、中国経済は麻痺することになるために衝突するとは思えないとした。

明らかに中国はインターナショナル・システムに同化しており、中国の影響力の慎重な拡がりこそがグローバルな優越性実現に向けた最も確かな道のりであると中国首脳は理解しているとブレジンスキーは見ている。

トライラテラル・コミッションの創設に関与した国際派ブレジンスキーならでは議論が繰り広げられ、日本政官財界のグローバリストも大喜びしそうな内容となっている。中国に対する「政冷経熱」は日本だけの現象ではないらしい。

■ミアシャイマーのゴジラ論

これに対して、その究極のゴールを世界のパワー・シェアを最大化し、システムを支配し、覇権を目指す攻撃的な存在として大国を位置付けるジョン・ミアシャイマーは、自らのオフェンシブ・リアリズムを中国に適応させ、中国は平和的に台頭することができないと断言する。そして、中国が来るべき2~30年の間に劇的な経済成長を続けるならば、米国と中国は戦争への可能性をともなう程の緊張した安全保障上のライバルになると説く。その時、インド、日本、シンガポール、韓国、ロシア、ヴェトナムを含めた大部分の中国の隣国は中国のパワーを封じ込めるために米国と結び付くだろうと予測する。

そして、ブレジンスキーに対して一撃を加えるのである。インターナショナル・システムにおけるメイン・アクターはアナーキーの中に存在する国家であり、このシステムで大国が生き残る最良の方法は、潜在的ライバルと比較してできるだけ強力であることだ。国家が強力であればあるほど、他の国家が攻撃を仕掛ける可能性は少なくなるのだと言い切る。

追い打ちをかけるように、「なぜ、我々は中国が米国と異なる行動をとることを期待する?」「中国人は、西洋人と比べて、より理にかなっていて、より良心的で、より国家主義的ではなく、彼らの生き残りにも関心がないのか?」と冷徹に疑問を投げかけ、そんなことはありえないとしながら、「中国が米国と同じやり方で、覇権を目指すに決まっているではないか。」と断じるのである。

そして、中国がアジアを支配しようとすれば、米国の政策担当者がどのように反応するかは、明らかである。米国はライバルを寛大に扱うことはしないのだ。従って、米国は中国を封じ込め、最終的にはアジアを支配することがもはやできないぐらいにまでにパワーを弱めようとするだろう。米国は冷戦時代にソ連にふるまった同じ方法で中国に対処する可能性があるとした。

また、「中国首脳と中国人は過去一世紀に何があったかについて覚えている。日本は強力で中国は弱かった時のことだ」とした上で、名言が飛び出してくる。「国際政治のアナーキーな世界では、バンビちゃんであるより、ゴジラでいるほうがいいのだ」と。

■圧倒するミアシャイマー

誤解無きように付け加えれば、ミアシャイマーはゴジラのように中国が暴れ回り、他のアジアの国を征服する可能性は低いと見ている。

そして、ブレジンスキーへの攻撃の手は緩めない。経済分野における相互依存関係に対して、戦前のドイツと日本の事例を示しながら、経済に損害を与える時でさえ、時には経済的な考慮を無視し、かつ戦争を引き起こす要因が存在すると指摘しながら、ゴジラとなった中国はアジアから米国人を追い出し、地域を支配することになるのだと語る。

これに対して、ブレジンスキーは特に日本から米国を追い出すことが可能かどうかを指摘しながら、たとえ追い出すことができても、中国が強力かつ国家主義的で、核武装した日本が待ちかまえており、中国はそれを望まないと反論する。

しかし、ミアシャイマーは汚くて危険なビジネスとしての国際政治の世界で、ミアシャイマー自身が描く情勢はそんなかわいいものではないと締めくくるのである。

詳しくは原文を見ていただきたいが、ミアシャイマーが理論面でブレジンスキーを圧倒していることがわかる。これはブレジンスキーと違ってビジネスに毒されず、理想やイデオロギーや白人優位主義的な希望的観測を排除し、リアリストに徹する姿勢から生まれ出るものだろう。

しかし、ライジング・チャイナが将来の米国にとっての地政学的な脅威となることは、ふたりに共通しているのである

■二匹のゴジラとキングギドラ、そしてモスラの大乱闘

ミアシャイマーはゴジラが日本生まれであることを知ってか知らずかはわからないが、ミアシャイマーに敬意を払いながらも、ここでは強引にその姿形から中国をキングギドラに変身させてみたい。現在はバンビちゃんに見える中国もミアシャイマーが言うようにキングギドラになるのだろうか。ブレジンスキーも指摘するように、その時日本は核兵器を手にしたゴジラになっているのだろうか。

かつてゴジラは水爆実験のよって眠りから覚めた。日本ゴジラは2025年、あるいは2030年にはキングギドラの存在によって再び自ら目を覚ますのだろうか。日本自らの意志でゴジラに変身したように見せかけながら、実際には米国によって叩き起こされてしまうのだろう。従って、獲物を狙う鋭い視線で「キングギドラ対日本ゴジラ」を見つめるトカゲのような米国ゴジラの存在も確認できる。

米国ゴジラはその時に備えて日本核武装論を本格的に仕掛けている。米国の刺客が多数送りこまれている日本でも、その議論は北朝鮮問題も絡めて今後嵐のごとく吹き荒れるだろう。一方で、米国に次ぐ世界第二位の石油消費国となったバンビちゃんは、尻尾を振りながら、その巨体を維持するためにサウジアラビア、イランはおろか、米国の裏庭であるカナダやベネズエラにまで触手を伸ばし始めた。

キングギドラと二匹のゴジラの衝突を世界中が固唾を飲んで見守っている。しかし、ふと頭上を見上げれば、遙か彼方にモスラがゆっくりと旋回しているのが見える。怪獣のくせに平和の使者を気取りながら、モスラはキングギドラに入れ知恵しているようだ。

中国の三大石油メジャーであるCNPC(中国石油天然ガス集団公司)、SINOPEC(中国石油化工集団公司)、CNOOC(中国海洋石油総公司)の取締役会を覗くと、キングギドラから招かれたモスラの頭脳集団の存在も見出せる。

CNPCのフランコ・ベルナベはフランク・ベルナベ・グループの会長やフィアットの取締役などを務め、CNOOCにいるケネス・S・コーティスはゴールドマン・サックス・アジアの副会長である。そして、この二人は共にビルダーバーグ会議のメンバーであることに誰も気付いていない。

ブレジンスキーの予測通りに米国のパワーが衰退し、キングギドラとモスラと日本ゴジラが連合を組むことになれば、実は米国ゴジラにとって極めて手強い相手になる。なぜなら、石油以外に戦争に必要な重要資源が中国周辺に存在しているからだ。この資源をめぐって中国・日本・米国・北朝鮮が血みどろの死闘を演じてきた裏面史が今なお刻まれ続けている。この存在も米中衝突を回避させる抑止力につながるとするのが、私の見解である。

とはいえ、モスラが信頼できない平和の使者であることを歴史が物語る。バック・パッシング(責任転嫁)を得意技とするモスラは、いざとなれば米国を自由自在に操りながら相手にぶつけてくるのである。中国は日本やサダム・フセインの経験からこのことを学ぶべきだ。ここで甘えは許されない。また同時に、米国が核兵器を実戦使用した唯一の国家であることを忘れてはならない。

当面の間、世界情勢を冷静に見極めながら、日本は中国に対して現在の「政冷経熱」状態を適度に維持することが賢明である。その時が来るまで、選択肢の一つとして「バンビちゃん戦略」も位置付け、その骨格としての憲法九条も温存しておくというシナリオも描いておくべきだろう。

(2005年1月12日記)



蛇足


カーター政権時代の国家安全保障担当大統領補佐官
という存在である 。国務長官と対立して、持論の地政学的な政策を唱えた・。現在も、キッシンジャーなどの論客の中に入る。上記をいろいろ分析すれば、共和党と民主党の差はほとんど見えず。まして、民主党にして現政策を認めている。若いときは、かなり世界新秩序(電子工学の檻)に拘った様に見えるが、昨今は次世代に任せているように見える(イルミナティの長老になったのか?)。

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