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山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2006年7月22日

                           山本尚利

タイトル: 日経スクープ:昭和天皇はなぜ靖国参拝を中止されたか



1.昭和天皇靖国発言メモ公表の狙い

 2006年7月20日、日経新聞に昭和天皇が、生前1988年、靖国神社に1978年、A級戦犯が合祀

されたことに不快感を示されていたとのメモ、すなわち元宮内庁長官であった富田氏の私的

メモが発見されたというスクープ記事が載りました。筆者は、昭和天皇にそのようなご意向

があったことは前々から、ネット情報で知っていました。今回、それを裏付ける証拠が発見

されたことになります。事実、A級戦犯合祀後、30年近く、昭和天皇も、平成天皇も靖国神社

を参拝されていないのは紛れもない事実です。多くの日本国民はこのニュースに接して『や

っぱりそうだったのか』と脳裏に強くインプットされました。このインプットは容易に覆る

ことはないでしょう。平成天皇が国民に向かって明快にこのメモを否定されない限

り・・・。筆者は、この記事を見たとたんに、この時期にこのニュースが、読売新聞でもな

く、朝日新聞でもなく、なんと日経新聞から出されたことに重大な意味があると直感しまし

た。要するに、大手新聞各社が事前にウラ協議して、日経がスクープすることに決めたもの

と推測されます。タイミングをみて極めて計画的に報道されたものでしょう。平成天皇も非

公式に富田メモ公表を了解されていたのかもしれません。

 この記事は、明らかに小泉陣営に不利な、極めて政治的な記事です。なぜなら、小泉首相

はすでに、来月8月15日に靖国参拝を決行することをほのめかしているからです。もし、小泉

首相が来月8月15日に靖国参拝を決行すれば、今度ばかりは天皇の意志に逆らって参拝してい

る印象を、国民どころか、中国、韓国を含む全世界に与えてしまいます。ところで筆者は

前々から、日経新聞は、小泉政権の規制緩和政策を支持していた親小泉派の新聞であると筆

者は理解していましたから、このスクープをきっかけに日経は大きく舵を切ったようにみえ

ます。

 さて、このニュースを受けて、靖国参拝に関して、小泉首相には二つのオプションが生ま

れます。(1)この記事に乗っかって、来月の靖国参拝を中止する。(2)このニュースを

無視して靖国参拝を強行する。

 本ニュースのリリース直後、小泉首相は、自分の靖国参拝決行は、このニュースに影響さ

れないと言い切りました。つまり、小泉首相は今のところ、オプション(2)を表明してい

ます。靖国神社は戦前の天皇制と密接に関係している特別な神社であるにもかかわらず、小

泉首相は、日本国首相の靖国参拝が天皇の意志に影響されないと表明したに等しい。天皇が

参拝を控えているこの特別な神社になぜ、日本国首相が公式参拝できるのか。小泉首相は、

それを心の問題であると釈明しています。しかし、これは子供だましのロジックです。心の

問題だったら、あえて公式参拝せず、首相官邸の中で、靖国に向かって手を合わせればすむ

話ですから・・・。



2.なぜ日経新聞のスクープなのか

 天皇制や靖国問題のからむこの政治的ニュースがなぜ、経済専門紙である日経のスクープ

なのか。日本国民誰もが抱く素朴な疑問です。そこで、MOT(技術経営)シナリオ論を応用し

て、筆者の推論を展開します。まず、筆者の基本的持論は『日本の政官財はすでに、米国覇

権主義者に支配されている』というものです。次に、米国覇権主義者は、双頭の鷲の構造を

もっているとみています。(注1)双頭の鷲とは、軍事・エネルギー覇権主義者と国際金融覇

権主義者を指します。さらに、上記、米国覇権主義者は、欧州寡頭勢力の意向を無視できな

いと考えます。

 日本国の小泉政権は、日本国民の意向ではなく、米国覇権主義者の意向に忠実な日本国政

権であり、日経新聞も米国覇権主義者のシンパであると筆者はみなしています。

 この持論から、今回の日経新聞のスクープ記事は必ずしも、中国との外交復活を望む日本

の財界や、政界の反小泉派の意向ではないと筆者は推定します。多少の影響はあるでしょう

が・・・。

 筆者の見方は、今回の日経スクープは、日本を支配する米国覇権主義者の軍事・エネルギ

ー覇権主義者と国際金融覇権主義者の間で繰り広げられるアジア利権バトルの一端であると

いうものです。

 米国覇権主義者に支配されるブッシュ政権は、ビルダーバーグ・オタワ会議直後、2006年6

月中旬、ゴールドマンサックス出身のヘンリー・ポールソン(中国通)の入閣をきっかけに、

覇権構造が微妙に変化したと筆者はみています。(注2)すなわち、ブッシュ政権は、軍事・

エネルギー覇権主導から、国際金融覇権主導にバトンタッチされた。もちろん、軍事・エネル

ギー覇権がブッシュ政権から撤退するのではなく、相対的におとなしくなるという意味で

す。それに伴い、ブッシュ政権におけるイラン戦略の優先度が下がりました。そこで、あせ

ったイスラエル軍部が、ブッシュ政権を中東から逃がさないようレバノン攻撃を始めたとみ

ています。ブッシュ政権が国際金融覇権主導に交替したことを察知した日経新聞は、もはや

小泉首相の靖国参拝を支持する必要はなくなったのでしょう。なぜなら、小泉首相の靖国参

拝は、もともと、米国の軍事・エネルギー覇権主義者に媚びるための挑発行動だったからで

す。そのためか、主力新聞のうち、米国の軍事・エネルギー覇主義者に強いコネをもつ産経新

聞のみ、富田メモ公表以降も、小泉首相の靖国参拝を頑固に支持しています。



3.福田氏出馬見送りのインパクト

 筆者は、ライブドア事件の後、2006年5月時点で、ポスト小泉は、福田康夫氏の自民党総裁

誕生シナリオではないかと読んでいました。(注3)ただし、首相ポストは超党派で、小沢

一郎総理大臣誕生シナリオを予想していました。なぜなら、米国覇権主義者はポスト小泉と

して安倍晋三氏は念頭にないと読んでいたからです。米国指導者からみて、安倍氏がどれほ

ど日本で人気があろうと、米国覇権主義者のモノサシで、彼は米国の傀儡政治家として評価

されないと筆者は、16年半のSRI経験からみています。端的に言えば、安倍氏は育ちが良すぎ

てワルの才能がないようにみえるからです。したがって、ライブドア事件前まで、米国覇権

主義者は、日本国の次期首相を若手にするなら、安倍晋三氏より竹中平蔵氏を希望している

と筆者は予想していました。(注4)ところが、ライブドア事件後、堀江氏を支援した竹中

氏の国民人気は急落しました。そのせいで、現在では若手政治家のなかで、竹中氏は、安倍

氏に比べて日本で、あまりに人気がなくなりました。そこで、ブッシュ政権の軍事・エネルギ

ー覇権系閣僚は、竹中氏を見限って、一時、福田氏に期待したはずです。(注3)

 ところが、福田氏は70歳という年齢のせいか、自民党総裁への野心は弱くなっているよう

で、2006年7月21日、ポスト小泉の総裁選への出馬見送りを表明しました。

 ところで上記、日経新聞のスクープの狙いは何だったのでしょう。まず想定されるのは

(1)アジア外交の修復を期待して、アジア協調派の福田氏を、靖国参拝派の安倍氏の対立

候補として強力にサポートする効果を狙った。もうひとつは(2)福田氏の出馬見送りを予

想して、ポスト小泉の本命、安倍氏にアジア外交路線変更を迫る効果を狙った。

 ちなみに、福田氏が日経スクープの直後に、総裁選への出馬見送りを発表したのは、

(1)の狙いがあまりに重圧となったせいではないでしょうか。



4.ミヤウチとナベツネの場外バトル

 さて政治にフィクサーはつきものです。ライブドア事件、村上ファンド事件の摘発によっ

て、小泉政権のフィクサーは、オリックスの宮内義彦氏であることが、すでに世間に露呈し

ています。一方、日本には、宮内氏の天敵が存在します。その代表が、読売グループの渡邊

恒雄氏です。現在、村上ファンド事件や福井日銀総裁スキャンダルで、宮内氏が窮地に追い

込まれていますが、渡邊氏はシテヤッタリと笑いが止まらないでしょう。今回の日経スクー

プも、読売の渡邊氏が日経トップを口説いたのかもしれません。渡邊氏は読売オーナーであ

った正力松太郎氏の子飼いとして有名です。ところが、正力松太郎氏はなんと、CIAの秘密エ

ージェントのひとりであったことが米国公文書館の資料分析から判明しています。(注5)今

回の日経スクープに渡邊氏が関与していたならば、矛盾が生じます。CIAは、軍事・エネルギ

ー覇権の支配下にありますから、小泉首相の靖国参拝を阻止することはないはずです。しか

しながら、今回の日経スクープは渡邊氏の関与があったのではないかと感じられます。もし

そうならば、渡邊氏は必ずしも米国の伝統的な軍事・エネルギー覇権主義者のみに支配され

ているのではないのかもしれません。今のところ、新参者の宮内氏を蹴散らして、復権しつ

つあるようにみえます。



注1:ベンチャー革命No.150『双頭の鷲:北朝鮮経済制裁とライブドアの関連性』2005年2月19日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr150.htm


注2:ベンチャー革命No.193『福井日銀総裁バッシングとポスト小泉シナリオ』2006年6月21日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr199.htm


注3:ベンチャー革命No.193『自民党次期総裁は福田氏?』2006年5月14日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr193.htm


注4:ベンチャー革命No.183『ポスト小泉を占う』2006年1月11日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr183.htm


注5:週刊新潮2006年2月16日号、

【特別読物】CIA「政界裏工作」ファイル発見!ポダムと呼ばれた「正力松太郎」 早稲田大

学教授 有馬哲夫



山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm


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