FC2ブログ

山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2006年9月22日

                           山本尚利

タイトル: サハリン2:またもや繰り返される日本の大チョンボか?



1.サハリン天然ガス開発にまつわる国際問題勃発

 2006年9月18日、ロシア天然資源省は、日米共同プロジェクトであるサハリン2の事業停止

命令を出したと報道されました。2008年夏より、日本の電力、ガス会社に供給開始される予

定のプロジェクトでした。停止命令の理由は、環境破壊というものです。

 サハリン2は、元々、マラソンオイル、ロイヤルダッチシェルと三菱商事、三井物産の合

弁企業、サハリンエナジーのてがける民間プロジェクトでした。

 ところが、マラソンは2000年に所有株をシェルに譲渡して撤退しています。また、同地域

の先行プロジェクト、サハリン1は、エクソン、ロシア企業、日本石油資源開発、伊藤忠、

丸紅などの日米露の国際コンソーシアムです。

 北大、村上教授のレポート(注1)によれば、サハリンの天然ガスの採算性は低いとのこ

と。ところで、日本の電力・ガス業界などが輸入する液化天然ガス(LNG)は、アラスカ、マレ

ーシア、インドネシア、オーストラリア、中東と多岐に渡り、サハリンLNGへの依存性は10%

前後と低いと思われます。ただ、LNG調達源のリスク分散のため、サハリンLNGが供給開始さ

れれば、一応、購入契約はするということでしょう。

 今回、ロシア政府が難癖つけたのは、ロシア資本の入っていないサハリン2の方だけです。



2.根室漁船被弾事件との関連

 サハリン2事件に先立つ、2006年8月16日、根室沖にて、日本の漁船にロシア警備艇が発

砲、日本人ひとりが死亡する事件が発生しています。われわれ日本人の心情として、ロシア

に対する感情がじわじわと悪化するのは避けようがありません。この事件は、根室港のすぐ

沖で起きています。何で、日本沿岸で日本人が簡単に殺されなければならないのか、まった

く納得できません。一方、ロシア政府から難癖をつけられているサハリンも戦前は日本の領

土であったわけです。このところの石油価格の高騰で、財力を復活させているロシア政府が

早速、日本を挑発し始めていると分析できます。



3.日本の大商社はまたも嵌められるのか

 筆者個人の考えでは、ロシア政府や中国政府などという反民主主義政府の権力者は、自国

のエネルギー開発投資や社会インフラ開発投資に関して、まず外資の導入を促進して、投資

が軌道に乗ったら、いろいろな難癖をつけて、外資を自発的に撤退させる。そして、最終的

にその投資資産を国有化しようというハラをつねに抱いているのではないかと思います。サ

ハリン天然ガス開発の話も、1975年に始まっています。エクソンが本格調査を開始したのは

1993年であり、この時期は91年のソ連崩壊後です。当時のロシア政府には財政力もプロジェ

クト主導力もなく、抜け目のない日本の大商社が、その隙を突いて、食指を動かしたのも無

理ありません。一方、ロシア政府は例によって、外資による開発が進むまで、静観を決め込

むわけです。まさに深く潜行するサブマリーン戦略です。

 他人にお金を出させて、うまくいったら乗っ取るという盗賊的手口は、中東油田地帯で歴

史的に頻発しており、現在のイラン・イラク地域の紛争の原点です。日本の三井物産を筆頭

とする三井グループもかつてイラン投資(IJPC:イラン・ジャパン石油化学)で苦い目に遭っ

ています。(注2)

 70年代から80年代にかけて展開された、かつてのイラン政府・日本資本の合弁事業は、現

在、バンダル・イマム・ペトロケミカルというイラン国有企業(イラン革命の指導者、バン

ダル・イマム・ホメイニの名前を冠した企業)に化けています。三井グループは3000億円くら

いの投資損失でしょう。当時の三井サイドの責任者の中東情勢分析力の貧困さが大変悔やま

れます。現在のようにインターネットで国際情報がふんだんに入手できる時代においては考

えられない愚かさです。悪名高いイラン・コントラ事件を起こした、当時の米国覇権主義者の

中長期的な対イラン・イラク攻略の野望を、当時の三井サイドが察知していれば、イラン投資

の意思決定はあり得なかったはずです。IJPCは絶対に成功しないプロジェクトであること

は、当初から十分予測できたことです。日本人のシナリオ発想力と諜報収集力の貧困さがこ

こでも禍いしています。

 上記、サハリン2も総事業費2兆円、日本サイドの三井物産、三菱商事合わせて1兆円規模

の投資を行っています。IJPCの苦い経験が、サハリン2にどれほど活かされているのでしょ

うか。

 ちなみに歴史的な大失敗したIJPCプロジェクトは、最終的には通産省事務次官経験者(山下

英明氏)を社長にして日本政府が尻拭いしています。これこそ究極のモラルハザードといえま

しょう。



4.サハリン2のワーストシナリオ

 サハリン2の仕掛け人は、既述のように、あのロイヤルダッチシェルです。つまり、欧州

寡頭勢力につながっています。欧州寡頭勢力といえば、1917年のロシア革命の闇の仕掛け人

でもあります。この寡頭勢力は、1904年から5年にかけて戦われた日露戦争で日本を応援し、

日本に戦費を融資してくれた米国の銀行家、ジェイコブ・シフともつながっています。日露戦

争は、結局、反ユダヤのロシア帝国崩壊の引き金になったと思います。日本の明治政府は単

に彼らに利用されただけでした。もっとも、明治政府自体が、国際寡頭勢力の支援で成立し

たともいえますが・・・。

 さてロシア革命後に誕生したソ連共産党独裁政権は、したがって、欧州寡頭勢力と裏でつ

ながっていたとみなせます。このように考えると、サハリン2を主導するロイヤルダッチシ

ェルと、ポストソ連、新生ロシアのプーチン政権はアンダーザテーブルではつながっている

ことになります。サハリン2は当初、マラソンとシェルという信用ある国際石油メジャーで

プロジェクトが組成され、日本の大商社を巧みに信用させて引きずり込み、ある程度、プロ

ジェクトが進んで、撤退しづらくなったところで、予定通り、マラソンが引いて、次に、シ

ェルとロシア政府が裏取引する(?)そして最後は、またも日本の大商社を大きく騙そうと

する魂胆が潜むのではないでしょうか。

 それでは、日本資本を騙す欧州寡頭勢力の究極の狙いはどこにあるのでしょうか。一説に

よれば、サハリン天然ガスは、彼らの闇の計画では、日本の電力・ガスに売るのではなく、パ

イプラインで北朝鮮、中国に供給する予定だそうです。金満日本に金だけ出させて、最後は

ポイ捨てのシナリオです。なるほど・・・。日本の大商社は、日露戦争と同じく、またも

や、最初からすっかり騙されている可能性があります。



5.極東戦争は回避できるか

 さて2006年9月22日、米国のライス国務長官が、北朝鮮包囲網の強化で、外相級多国間会議

を招集したにもかかわらず、中国とロシアは応じなかったと報道されています。ロシア政府

のサハリン2の事業停止命令の時期と見事に一致します。これらの動きは、米国覇権主義者

にとっても、とっくに織り込み済みのシナリオなのでしょう。

 ところで日本ではこの時期、タイミングよく、米国でナショナリストと呼ばれる安倍総理

率いる新内閣が実現間近です。上記の国際寡頭勢力(軍事・エネルギー覇権の方)の期待は、安

倍政権が日本国内でナショナリズムを煽り、反露感情、反朝感情を高揚させてくれることで

す。こうして日本海圏で、1世紀前の日露戦争と同様の緊張を再現させるシナリオが着々と準

備されているかもしれません。恐ろしいことです。かつて日露戦争で騙され、今度また騙さ

れたら、ほんとうのバカです。

 ところで、筆者は、例の国際寡頭勢力は、複数勢力が競い合って、共存していると読んで

います。極東戦争シナリオを進めるのは、軍事・エネルギー覇権の方の国際寡頭勢力だと読ん

でいます。しかしながら、彼らは順番制を敷いているので、近未来、国際金融覇権の方の国

際寡頭勢力が台頭してくると読んでいます。(注3)この読みから、ポスト小泉は、安倍氏(軍

事・エネルギー覇権の傀儡)ではなく、竹中氏(国際金融覇権の傀儡)と予測していました。

(注4) ちなみに、これまで小泉政権は、両覇権の競争の狭間で翻弄されていたと思いま

す。わかりやすく言えば、金融庁と宮内一派を支えたのが国際金融覇権で、宮内一派の掃討

を画する検察人脈と親米右翼を支えたのが軍事・エネルギー覇権であるとみなせます。

 さて国際金融覇権の寡頭勢力は今、米国内では、ブッシュの任期途上の大失脚を画策して

いるでしょう。ビル・クリントン政権末期のモニカ・ルインスキー事件を彷彿とさせます。

こちらは不発に終わりましたが・・・。ベネズエラのチャベス大統領にブッシュ大統領を悪

魔呼ばわりさせるなどして、最終的に、自作自演の9.11事件の首謀者をブッシュ大統領に押

し付けるシナリオが成功すれば、ブッシュ失脚は成功し、ポストブッシュに、国際金融覇権

の寡頭勢力の指名するあらたな傀儡大統領(たとえば、ヒラリー・クリントンなど民主党リー

ダー)が、早期に実現します。このシナリオが実現すれば、軍事・エネルギー覇権の画策する

極東戦争シナリオがとりあえず、延期されるでしょう。そのときは、もちろん安倍政権もツ

レション退陣ですが・・・。 

 ともかく日本が無用な戦争に引きずり込まれるより、ポストブッシュの国際金融覇権によ

って、近未来、経済崩壊させられるシナリオの方がまだましです。とにかく、血をみるのだ

けは真っ平御免です。ただ、国際寡頭勢力が地球上から消滅しないかぎり、いずれにしても

近未来、日本がひどい目に遭わされるシナリオだけは避けられません。



注1:サハリン大陸棚における石油・天然ガスの開発と環境、村上隆、北海道大学

http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/sakhalin/hoppo/hoppo_index.html


注2:イラン・ジャパン石油化学の歴史、2006年3月、化学業界の話題 およびIJPC年表

http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/index.html


http://kaznak.web.infoseek.co.jp/japan/ijpc-history.htm


注3:ベンチャー革命No.204『日本ななぜ、これほどまでに仕掛けられるのか』2006年8月26日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr204.htm


注4:ベンチャー革命No.183『ポスト小泉を占う』2006年1月11日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr183.htm




山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm

スポンサーサイト



トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

そっくりでショーパート16、ライス国務長官と…。

北朝鮮問題などで多忙な毎日を送っているライス長官。TVや新聞では毎日と言ってよいほど登場している。ブッシュ政権を影で支えるスーパー女史であり、ブッシュ大統領もたじろぐほどの強行派でも有名。2003年にはマイケルムーア監督の映画「華氏911」でゴールデンラ

コメントの投稿

非公開コメント

1 ■無題

トラックバック失礼致します。
プロフィール

kane552004

Author:kane552004
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR