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山本尚利氏コラムより

ベンチャー革命2006年12月7日

                           山本尚利

タイトル: 中国:ドル危機の救世主



1.中東石油決済のユーロシフト進行か

 2006年11月7日、米国中間選挙でブッシュ共和党が大敗して以来、米ドルの対ユーロ


安に歯止めがかかりません。この先の米ドル為替相場は非常に不透明です。

 さて、2003年3月に勃発した第二次イラク戦争で、米国がイラクに先制攻撃を仕掛けた


動機のひとつとして、以前からサダム・フセイン大統領(元)が、近隣の中東産油国に対し、


石油決済をユーロシフトするよう働きかけていたからであるという説があります。ブッシュ


Jr.政権はフセイン政権の打倒に成功して、イラクの石油決済のユーロシフト阻止には一


時的に成功しましたが、その後、ロシア産石油を含め、中東石油の決済のユーロシフトが


秘かに進行しているという説も根強くあります。2006年12月7日のマスコミ報道によれば、


ラムズフェルド国防長官の後任、ゲーツ新長官は、議会にてイラク戦争の成果に関して、


率直に否定的な回答をしています。このゲーツ長官発言のインパクトは実に大きいでし


ょう。なぜなら、ブッシュ政権の中東石油決済のユーロシフト阻止戦略が事実上、失敗


に終わったことをブッシュ政権自身が認めたことになるからです。現在、世界はドル経済


圏とユーロ経済圏に二分されていますが、中東石油決済がユーロシフトすることは、世


界基軸通貨としての米ドルの威信低下を意味します。さらにベネズエラなど中南米の産


油国の反米化も進行しているようです。今後、米国連邦議会の民主党優位の政治環境


下、ブッシュ政権が米軍のイラク撤退を余儀なくされれば、中東のみならず、世界におけ


る米国覇権の後退、世界経済のユーロシフト化の進行、そして米ドル危機という最悪シナ


リオが容易に描けます。



2.米国のドル防衛戦略とは

 世界覇権を握っている寡頭勢力は、ドル経済圏もユーロ経済圏も両方を支配していま


すから、ドルが崩壊しても彼ら自身は崩壊しないでしょう。しかし日本経済はドル崩壊が


起こると大変な打撃を受ける可能性が大です。そこで日本政府はドル防衛のためには、


なんでもする覚悟ができているでしょう。同時に日本政府の高官は、ブッシュ政権がドル


防衛に最善を尽くすはずだと信じて疑わないでしょう。ところでブッシュ政権を闇支配する


寡頭勢力が、最近、戦争屋から銀行屋にシフトしたと筆者はみています(注1)。

 ブッシュ政権の闇支配権が、新たに銀行屋系の寡頭勢力に交代したとして、彼らが必


死になってドル防衛に奔走してくれるでしょうか。必ずしもそうなるとは限りません。なぜ


なら、彼らはユーロも握っているからです。ドルの維持にはそれほどこだわらないでしょ


う。 ところで米国連邦政府の財政は額面上、30兆ドルの累積赤字を抱えさせられている


といわれています。そのうち日本政府や日本の金融界に対して3~4兆ドルの債務を抱え


ているといわれています。その意味で米国連邦政府自体は事実上、財政破綻しているに


等しいのです。このことから、米ドル通貨はいつ崩壊してもおかしくないのです。米ドルが


いったん崩壊すれば、連邦政府の対外債務も自動的に消滅しますから、連邦政府の通


貨政策としては、ドル防衛どころか、意図的なドル崩壊のシナリオも十分ありうるわけで


す。しかしながら、だからといって、米国に富がなくなるわけではありません。米国の国


富は連邦政府ではなく、ブッシュ政権や連邦準備銀行(米ドル発行元)を牛耳る世界的


寡頭勢力にもっぱら私有されているということです。いずれにしても、米ドル通貨を崩壊


させるか、防衛するかの選択肢を実質的に握っているのは米国連邦政府ではなく、彼ら


世界的寡頭勢力なのです。しかしながら、米国連邦政府におけるブッシュ政権という表の


顔は、米国民の手前、とりあえず、ドル防衛に動くでしょう。彼らはまず、日本や中国に


協力を求めてくるでしょう。日本政府には、ドル防衛へ全面協力以外の選択肢はありま


せんが、米ドル債権国に成長した中国は手持ちのドル準備とドル債権を対米外交の武


器に使うことは明らかです。そこで現ブッシュ政権も次期政権(おそらく民主党政権)も、


表向き、緊急ドル防衛のために、アジア地域でドル需要を高める経済戦略をとってくる


のではないでしょうか。



3.中国投資の活性化

 中間選挙以降、ブッシュ政権を支配していた戦争屋が後退した今、ブッシュ政権がと


るべきドル防衛戦略は当面、中国投資の活性化によりドル需要を高める。これしかあり


ません。中国の経済成長に伴う、地球エネルギー消費増大、地球温暖化という副作用


には、しばらく目をつぶるということになります。その意味で中国は、中短期的にはドル


危機回避の救世主となるでしょう。しかしながら中長期的には地球エネルギー危機とい


う新たな脅威を生みます。なぜなら、中国経済成長により、中国のエネルギー消費が


大幅に増大するからです。世界的寡頭勢力の描く超長期のシナリオとしては、中国投


資活性化で、中国をいったん太らせ、次には、中国を軍事的脅威に仕立てて、最後は


東アジア人同士で戦争させて、人口集中地域の東アジアを一挙につぶすことにより、


地球エネルギー危機を最終的に回避する、というものではないでしょうか。

 上記のような世界的寡頭勢力のシナリオ(新世界秩序:New World Order)に関しては


『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた』(副島隆彦、2006年、徳間書店)とい


う本が出版されています。本著のタイトルを裏付けるように、GBN(Global Business


?Network)という米国の代表的なフューチャリスト集団(注2)は4つの近未来中国シナリオ


を発表しています。そのレポートによれば、近未来の中国シナリオは、(1)世界的経済大


国、(2)巨大な開発途上国、(3)アジアのみでの超大国、(4)世界的覇権国(人民元基軸


通貨)の4つです。 この4つのシナリオには、とりあえず中国崩壊も東アジア崩壊も含まれ


ていません。最悪でも中国はシナリオ(2)の巨大な開発途上国家にとどまると予測されて


います。これらのシナリオ分析から伺えるのは、いずれのシナリオでも、近未来、中国経


済が巨大化するということです。特に(4)のシナリオでは、米ドルに代わって人民元がユ


ーロと並んで世界基軸通貨となると予測されています。ところでブッシュ政権に2006年6


月に入閣した新財務長官、ヘンリー・ポールソンは、ゴールマンサックスの会長経験者で


すが、中国通として有名です。なお、ゴールドマンサックスは、現在、全米一の多額政治


献金企業であり、民主党上院議員のジェイ・ロックフェラー氏に近い企業といわれていま


す。ちなみに、民主党クリントン政権下のロバート・ルービン財務長官もゴールドマンサッ


クスの会長でした。これらの事実から、ブッシュ政権に中国通のヘンリー・ポールソンを


入閣させた寡頭勢力が、良い意味でも、悪い意味でも、いかに中国をマークしているか


が想像できます。彼らは、いったん米国経済を衰退させて、代わりに中国経済を成長さ


せて、一時的に米中の拮抗的競争状態を創出させようとしているのではないでしょうか。


そして、かつての米ソ冷戦時代と同様に、いずれ米中緊張時代に発展させようとしてい


るかもしれません。とりわけ上記のシナリオ(3)では、アジア覇権競争をめぐって日中


対立が扇動されて、下手をすると、われわれ日本人は日中戦争に引きずりこまれる


危険が大です。世界的寡頭勢力にとって、超長期的に東アジアをスマートに崩壊させ


るには、東アジア人同士で戦わせるのがもっとも効率的であると、彼らは考えている


かもしれません。



注1:ベンチャー革命No.210『米国中間選挙:戦争屋から銀行屋ヘバトンタッチ』2006年11

月12日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr210.htm


注2:SRIでシナリオ分析法を開発したピーター・シュワルツなどフューチャリスト集団の創

業したベンチャー企業

http://www.gbn.com/




山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm

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