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山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2006年12月31日

                           山本尚利

タイトル: フセイン元大統領処刑のインパクト



1.イラクのフセイン元大統領処刑の意味

 2006年12月31日の新聞に、イラクの元大統領サダム・フセインが絞首刑にされたニュースが

報道されています。全世界のTVニュースはフセインが処刑される直前と直後の画像を放映し

ています。そのうち、インターネットで、処刑そのものの画像も流されるかもしれません。

このニュースは来年がどのような年になるかを占うビッグニュースであることは間違いあり

ません。フセイン処刑の直前、12月28日、ネット・ジャーナリスト田中宇氏(注1)の「半年

以内に米・イラン戦争が始まる?」というレポートが筆者のメールに配信されてきました。

すでに、米空母がペルシャ湾に配備され始めているそうです。来年3月頃、米軍はイラン攻撃

を開始するという観測が流れています。第二次イラク戦争のときも2003年の3月でした。米軍

が中東上陸作戦を行うのに、3月という時期が好都合なのでしょう。

 来年早々、戦争屋系の米国覇権主義者がイラン戦争を開始するのに、戦争嫌いの米国民の

手前、イラク問題に一応けじめをつける必要があります。そこで、戦争屋の都合で、2006年

中にフセイン処刑というイベントがどうしても必要だったということです。フセインには影

武者(暗殺に備えた身代わり)が何人もいたそうですが、処刑された人物が本物かどうか別

にして、2003年12月、わざとらしくフセインが米軍に逮捕されています。戦争屋は、それ以

降、フセインの処刑タイミングを狙っていたわけで、3年後、2006年12月にその時期が到来し

たということです。



2.フセイン処刑の波及効果

 戦争屋系の米国覇権主義者は、この時期のフセイン処刑イベントでどのような波及効果を

狙っているのでしょうか。誰もが予想できるのは、(1)中東におけるスンニ派とシーア派

の対立激化、(2)アルカイダの報復テロ活動の活発化、の二つです。中東で戦争を仕掛け

る勢力(戦争屋)にとっては、戦争を始めるための火種がたくさん生じることを意味しま

す。フセイン処刑を発表するイラクのマリキ首相の背後にはイラク国旗と並んで、米国国旗

が掲げられていました。マリキ政権は米国の傀儡政権であることは明白です。さらに、ブッ

シュ大統領は、フセイン処刑は、イラク新政権が執行したものであると声明を出していま

す。中東のフセイン支持者が、ブッシュではなく、マリキ首相を憎むように仕向けているわ

けです。

 このように、フセイン処刑イベントで来年早々、世界で何が起きるかが見えてきます。戦

争屋は、フセインを反米ヒーローとみなすスンニ派と、フセインを敵とみなすシーア派の対

立を煽り、中東が大混乱することを狙っているのが見え見えです。来年早々、両派の報復テ

ロ合戦が、今年以上に激しく仕掛けられていくでしょう。戦争屋は、様々な闇ルートを通じ

て、両派に武器弾薬を供給するはずです。その結果、両派の内戦状態が醸成され、両派の憎

しみはさらに激しくなるわけです。これこそ、戦争屋の狙い通りということです。



3.イラン攻撃にこだわる戦争屋のあせり

 上記のように、2006年末、フセイン処刑カードをあわてて切った戦争屋の狙いが見えてき

ました。すなわち、フセイン処刑をきっかけに、イラク国内に内戦を起こさせる。その間

に、イランの核燃料工場や軍事施設の攻撃を開始するということではないでしょうか。

?しかしながら、この推測には矛盾が生じます。なぜなら、2006年6月にカナダのオタワで開

催されたビルダーバーグ秘密会議で、戦争屋の牛耳るブッシュ政権のイラン攻撃計画が反対

決議をされたといわれているからです(注2)。それまで、3年がかりでイラン攻撃を計画し

ていた戦争屋にとって、ビルダーバーグ会議における米国のイラン先制攻撃反対決議は誤算

でした。世界最強の軍事力を誇る戦争屋系の米国覇権主義者といえども、さすがに、世界的

寡頭勢力の意思決定オーソライズ機関であるビルダーバーグ会議の決議に逆らうことはでき

ません。戦争をビジネスのひとつとみなす戦争屋にとっての問題は、イラン攻撃用に製造し

てきた武器弾薬をどこの現場で消費するかでした。そこで、浮上したのがセカンドチョイス

の北朝鮮でした。その意味で2006年7月の北朝鮮ミサイル発射事件(注2)は、イラン攻撃用

武器弾薬の在庫一掃作戦のトリガーとして、北朝鮮を闇から挑発した結果であると筆者は分

析しています。そのため、当時の筆者は近未来、日本海で極東戦争が勃発するのではないか

と、非常に懸念していました。われわれ日本国民にとって、実にいらだたしいのは、いった

ん戦争屋に極東戦争シナリオを計画されたら、われわれ自身にはそれを止める手立てがない

ということです。その意味で、今回の戦争屋のイラン攻撃計画復活ニュースで、ひとまず極

東戦争の危機が去ったと、ほっと胸をなでおろしているわけです。われわれは今後も、彼ら

戦争屋に一喜一憂させられ続けていくわけです。ところで筆者の16年半におよぶSRI(米国シ

ンクタンク)の経験から間違いないのは、彼らは何事も、優先順位を決めて順番に実行する

習慣があるということです。したがって、彼らのターゲットがイランに向いているときは極

東戦争が後回しとなります。

?それではなぜ、戦争屋は、来年早々、ビルダーバーグ会議の決議に反して、イラン攻撃が可

能になるのでしょうか。



4.なぜ、イラン攻撃計画が復活したか

 戦争屋系の米国覇権主義者はなぜ、いったんストップのかかったイラン攻撃作戦を復活で

きるのでしょうか。その謎を解く鍵は、2006年11月の米中間選挙結果にあると思います(注

3)。ポスト・ブッシュのヒラリー・クリントン次期大統領実現に向けて、闇の権力は着々と

準備を進めているといわれています。

 米国の次期の闇権力は、銀行屋(金融系寡頭勢力)が握ることが中間選挙でオーソライズ

されたので、余裕しゃくしゃくの銀行屋が、あせる戦争屋(ブッシュ政権でイラン戦争を計

画していた勢力)に妥協してきたということではないでしょうか。ということは、2006年7月

の北朝鮮ミサイル事件(注2)と、2006年10月の北朝鮮の核実験事件(注4)は、中国を次

期ビジネス・ターゲットと狙う銀行屋(注5)を揺さぶるために、あせった戦争屋が統一教

会などを動かして仕掛けた恫喝であったとみなせます。戦争屋は銀行屋に対し、イラン攻撃

を認めないと、極東で暴れるぞという脅しです。一方、能天気の日本政府と違って、中国共

産党政権は、戦争屋の暗躍をすべて把握している可能性が大です。なぜなら、2006年9月に安

倍政権が誕生してすぐに、中国共産党が自民党反中派である安倍新首相の中国訪問を易々と

受け入れたからです。小泉政権時代に戦争屋の差し金で悪化させられた日中関係を、速やか

に改善しておかない危ないと、戦争屋から極東戦争を仕掛けられる危険が高まったことを中

国共産党は察知したのです。ポスト・ブッシュを仕切る予定の銀行屋にとって、戦争屋から極

東戦争を仕掛けられてはたまりません。そこで、中国共産党の強い要望もあって、銀行屋は

しぶしぶ、戦争屋の当初のイラン攻撃計画に目をつぶることで、両者は手を打ったのではな

いでしょうか。そこで、北朝鮮脅威シナリオは急遽、棚上げとなり、2006年12月に北京で行

われた、茶番の6カ国協議も案の定、先送りで終わりました。そして12月末、フセイン処刑カ

ードが急遽、切られたという筋書きです。



5.来年は果たして戦争屋の筋書き通り行くのか

 2年後に引っ込むことが決まっている戦争屋は、一応、銀行屋を妥協させて、イラン攻撃計

画復活の了解をとりつけたものの、厭戦ムードの米国世論と、まだ正義感の残っている欧州

世論の反応が未知数です。これまでなら、ここで一発、アルカイダ・テロを勃発させて戦争

誘導に成功してきましたが、インターネット時代、米国と欧州の知識階層には、この手口が

色あせてみえるでしょう。その手は食わないよと。米国覇権主義者の内部にも、強引な戦争

屋に手を焼いている中道派も少なくありません。ラムズフェルド元国防長官が失脚した後の

国防総省は、むしろ中道派の牙城です。その意味で、戦争屋がイラン攻撃を実行するまでに

はまだいくつもの関門が控えています。ただ、それでも、イラン攻撃は、手ごわい中国共産

党とプーチン・ロシア政権が立ちはだかる極東戦争の実現より、はるかにハードルが低い。さ

らに、イラン攻撃には、中東石油利権とイスラエル防衛という米国国益が関係しますが、極

東戦争には、米国国益はほとんど関係しないという点も見逃せません。

 戦争屋にとってもうひとつの頭痛の種は、戦争資金です。第二次イラク戦争では、戦争資

金調達のためにブッシュ政権の発行した米国債を小泉政権がせっせと買い支えてくれたのが

幸いしましたが、イラン攻撃資金を安倍政権が貢ぐでしょうか。安倍政権は、非・親米派官

僚勢力の総攻撃にあって、風前の灯です。

 筆者の推測では、戦争屋と銀行屋の闇合意で、イラン攻撃は、すでに製造してしまったイ

ラン攻撃用武器弾薬の在庫一掃のみに限定されるのではないでしょうか。それならば、イラ

ンの損害も限定的となります。ちなみに、イランの核開発施設破壊が、表向きのイラン攻撃

の大義名分であっても、それはまったくの口実です。なぜなら、北朝鮮は核実験までやって

いるのに、攻撃されることがないわけで、二枚舌の戦争屋の屁理屈にまったく一貫性がない

からです。戦争屋はまさに戦争中毒であり、常に、世界のどこかで戦争を仕掛けざるを得な

い、危険で哀れな存在なのです。要するに、戦争することが目的化している。日本の既得権

益者がハコモノ建設中毒に罹っているのとまったく同じです。

?ところで、2006年9月、米国覇権主義者のシンクタンクのひとつ、CFR(外交評議会)は国連

演説で渡米したアフマデネジャド・イラン大統領を招待して講演させていると聞いています。

この事実から、うがった見方をすれば、イランのアフマデネジャド大統領(注6)は、北朝

鮮のキム・ジョンイル、アルカイダ指導者のオサマ・ビンラディン、ベネズエラの反米大統

領ウゴ・チャベスと同じく、戦争系の米国覇権主義者から単に悪役を演じさせられているに

すぎないのかもしれません。西部劇感覚の戦争屋にとって、悪役は不可欠なのです。その意

味で今回、処刑されたサダム・フセインも貴重な悪役であったわけです。



注1:田中宇の国際ニュース解説 
http://tanakanews.com/


注2:ベンチャー革命No.200『北朝鮮ミサイル:日本国民をもてあそぶ玩具』2006年7月5日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr200.htm


注3:ベンチャー革命No.210『米国中間選挙:戦争屋から銀行屋へバトンタッチ』2006年11

月12日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr210.htm


注4:ベンチャー革命No.209『北朝鮮地下核実験強行の意味とは』2006年10月9日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr209.htm


注5:ベンチャー革命No.212『中国:ドル危機の救世主』2006年10月9日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr212.htm


注6:ベンチャー革命No.185『イランの危険な抵抗』2006年2月6日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr185.htm




山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm



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