FC2ブログ

山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2007年1月7日

                           山本尚利

タイトル:柵か檻か:日米安保



1.柵と檻の違い

 柵とは、敵の侵入を防ぐために廻らせた防護構造物を指します。一口に柵といってもピン

からキリまであります。我が家のアルミ製のフェンスは、泥棒侵入防止の柵です。一方、北

方民族の侵入を防ぐために築かれた万里の長城は、歴史上最大の、もっとも堅牢な防護壁

(柵)のひとつでしょう。しかしながら、壮大な万里の長城(Great Wall)も、我が家のチャ

チなアルミのフェンスと設置目的は同じです。どちらも防護壁としての機能を有します。一

方、檻とは、罪人を閉じ込める頑丈な構造物ですが、場合によっては、罪人に復讐しようと

する被害関係者のリンチから罪人を守る防護壁(柵)の役割を果たします。その意味で、ア

ルミのフェンス(柵)も、鉄格子の檻も強度の違いはあっても、防護構造物という点では極

めて似通っています。だから能天気の人間には目の前に立ちはだかる防護構造物が、柵か檻

かの区別がつかないのです。

 ところで、日本は四方を海に囲まれる島国ですが、歴史的にも外敵の攻撃や侵入を防ぐに

は理想的な海洋国家として今日に至っています。われわれ日本人は有史以来、海という天然

の防護構造物によって守られてきたのは確かです。しかしながら、そのために日本人個人

が、日本から非合法で脱国するのは不可能に近い。だから、本能的に日本人は古来より村八

分を極度に恐れます。それに比して、たとえば、北朝鮮からの脱北者(非合法の脱国者)が

多数、韓国や中国に居住していますが、これは北朝鮮が大陸国であるからです。海に囲まれ

た日本では、われわれ日本人が脱北者のように非合法で脱国するのは至難の業となります。

 ところで米国サンフランシスコ湾にアルカトラス島という小島がありますが、昔はここ

に、アル・カポネなどの重罪人を収容する凶悪犯専用の孤島刑務所がありました。日本とい

う国家はアルカトラス島を巨大にした孤島国家といえなくもありません。

 このような孤島国家の文化は、常に外敵の侵略に曝される大陸国家の文化とはおのずと異

なると思います。その意味で、現代の日本人の国民性は、韓国、北朝鮮、中国の国民性とは

大きく異なるはずです。人種的には似ているにもかかわらず・・・。筆者の持論では、多く

の日本人は柵と檻の区別がつかないという『途方もない無防備性』(能天気性)を有してい

るとみています(注1、196ページ)。韓国、北朝鮮、中国の国民には、このような能天気性

(無防備性)はみられません。彼らはもっと、敵に敏感であり、抜け目もなく、したたかで

す。



2.日本人の国民性と日米安保条約

 2007年1月7日朝、フジテレビの報道2001という番組にて中曽根康弘氏(元首相)と、

手嶋龍一氏(外交ジャーナリスト、元NHKワシントン支局長)の対談がありました。両者の一

致した対米観は、一言『米国は日本の核武装を絶対に許さない!』というものでした。東ア

ジア周辺諸国のみならず日本国民の多くも、日本の核武装に反対である限り、中国、ロシ

ア、北朝鮮という核武装国に取り囲まれる日本は、米国の核の傘の下で安全保障してもらう

しか選択肢はない、と中曽根元首相が発言しました。この伝統的国家安全保障論は、日本に

蔓延する親米右翼思想の原点でもあります。一方、米国のジャパンハンドラーは、上記、柵

と檻の区別がつかない日本人の無防備な能天気国民性を、徹底的に研究し、その国民性を熟

知した上で、敗戦後の日本統治に成功してきたと筆者は思います。筆者の見方では、日米安

保条約とは、能天気日本人には安全柵と見せかけて、実は檻の機能をもたせるにはもってこ

いの『目くらまし』のひとつということです。はっきり言えば、だましのマジックです。

 さて上記、手嶋氏はTV番組で重要な指摘をしました。その指摘とは『小泉政権が国連の安

全保障理事会改革に便乗した、日本の常任理事国入り運動を最終的に阻止したのは、反日の

中国共産党ではなく、実は米国ブッシュ政権であった』というものです。米国は日本の常任

理事国入りを応援するとみせかけて、最後に裏切ったということです。小泉政権時代、外務

省は盛んに、日本の国連常任理事国入りを目指して運動していました(注2)。周知のよう

に、国連関係機関への任意拠出金ランキングはGDPに比例して、日本は米国に次いで世界第二

位(2005年130億ドル規模)です。日本の国連関連拠出金は、常任理事国である英、仏、中

国、ロシアの合計より多い(国連全体の資金の2割を日本が負担)のです。にもかかわらず、

日本は敗戦国の性(さが)で、国際的に非常に理不尽な地位(低い地位)に据え置かれてい

るのです。2005年当時の外務官僚は、国民の総意に逆らって自衛隊のイラク派兵まで断行し

た小泉政権が、あれだけ米国に忠誠を誓っているのだから、米国は当然、日本の常任理事国

入りを応援してくれるハズと信じて疑わなかったようです。しかしながら、外務官僚が本心

から、もしそう信じていたならば、このような外務官僚は、他の一般日本人同様に、途方も

ない能天気日本人です。対米観が絶望的に甘いといえます。案の定、当時の外務官僚は易々

と米国に裏切られています。やれやれ、これでは外務官僚の資格まったくなしです。米国の

このような『裏切り』というか『はしごのはずし方』は、2006年7月の北朝鮮のミサイル発射

事件、あるいは10月の地下核実験事件に対して、日本の提案した北朝鮮制裁国連決議の顛末

にも垣間見られます。要するに米国は日本に同調する格好をしているだけです。しかしなが

ら、日本の外務官僚のプロ(一部)は少なくとも、拙著(注1)に書かれているような、狡

猾な米国覇権主義者の本性に気づいていると信じます。それでも、賢明な外務官僚(一部)

とて、いかんともし難いのは、日米安保条約が存在する限り、日米関係の悪化を何より恐れ

るからでしょう。

 筆者の持論では、現時点において『米国にとってアジア太平洋地域における最大の潜在脅

威国は、中国でも北朝鮮でもなく、それは日本』であると思います。なぜかといえば、日本

の技術経営力(MOT)は、核応用技術を含めて米国の軍事技術力を凌駕するだけの潜在力を秘

めていると彼らは買いかぶっているからです(注3)。この認識にしたがえば、米国にとっ

て、日米安保条約は、日本を守る防護『柵』どころか、実は日本を封じ込める『檻』そのも

のなのです。ただし、筆者の個人的見方は、上記、中曽根氏や手嶋氏の意見と多少異なりま

す。すなわち、少なくとも現在の米国のジャパンハンドラーは昔と違って、必ずしも、現代

日本の核武装そのものに反対しているのではないでしょう。MOT的視点から厳密に言えば『日

本の軍事技術力が米国の軍事技術力を陵駕することを絶対に許さない』のです。その範囲な

ら、彼らは通常兵器でも核兵器でも、もっともっと、むしろ日本に高く米国製兵器を売りつ

けたい。そして願わくば、極東戦争を起こしてくれて東アジア人の同士討ちで自滅してくれ

ることを密かに期待しているのではないでしょうか。しかしながら、戦後の自民党幹部も外

務官僚のトップも60余年間、日本国民に日米安保の真実を正しく伝えてこなかったといえま

す。

 一部の賢明な戦後日本人は、このような日米安保の欺瞞性にうすうす気づいていたのでし

ょうが、知らぬが仏でいるしかなく、故意にだまされてきたに過ぎません。人間誰でも、い

つ死ぬか知ったら生きる意欲が湧かなくなりますから・・・。また、周辺各国も、日本は米

国に守られていると錯覚してきたので、結果的に、戦後60余年間、奇跡的に日本の平和が維

持できたということです。しかしながら、最近、北の将軍様は、日米同盟の欺瞞性のみなら

ず、その脆弱性をも、とっくに見透かしています。だから、堂々と日本に挑発を仕掛けてく

るのです。それでもなお、能天気日本国民はまだ気がつかないというか、真実から目をそら

している。



3.偽装の日米同盟の行方:日本の孤立化

 2007年初頭、上記のような偽装の日米同盟関係の今後の行方が非常に気になります。さす

がの能天気日本国民のうち、一部の賢明な人は、近年の米国の対日外交姿勢はどこかおかし

いと気づき始めています。曲がりなりにもワシントンDCのウラを垣間見た、上記、手嶋氏

は、テレビに出演して、なんとか能天気の全国民にそれを気づかせようとしているように見

受けられました。ところで筆者はすでに2006年6月、今日の安倍政権誕生前に、ポスト小泉を

占っていました(注4)。その答えは、日本の孤立化シナリオです。このシナリオは元々、

すでに1991年時点で米国人フューチャリスト、ピーター・シュワルツによって予言されてい

ました(注5)。現代の米国は共和党政権、民主党政権にかかわらず本音では、アジア太平

洋地域の外交戦略で、日本ではなく中国をすでに重視していると思います(注6)。

 要するに、近未来、日本の孤立化、すなわち『日本封じ込め作戦』の黒幕が米国単独か

ら、米中の連合体となるのです。そのシナリオ予測から、外務省の描いた夢、すなわち日本

の国連安保常任理事国入りが、夢また夢、獲らぬ狸の皮算用であったことが明々白々です。

 それでは、日本を潜在脅威国とみなす米国覇権主義者は、今後、日本ではなく、中国と半

永久的に友好関係を維持するつもりでしょうか。否、それはありえません!彼らにとって中

国は第二の潜在脅威国にすぎません。

 彼らの発想とは単に優先順位の問題です。つまり、まず日本を潰してから、中国を潰すと

いうものです。まず日本を潰すために、一時的に中国を味方につけるだけです。彼らにとっ

て常に、今日の友は明日の敵です。超長期的には当然、中国をも潰そうとするでしょう(注

6)。 

 一方、中国の指導者は、そのくらいのことはとっくに読んでいるでしょう。非常に残念な

のは、そのくらいのことも読めない日本の指導者の能天気性です。同じ東アジア人でなぜ、

これほどの違いが生じるのでしょうか。その答えのヒントは、上記、万里の長城がなぜ、日

本ではなく、中国に存在するか、に潜んでいます。万里の長城(国家安全保障の証)の存在

は、大陸国、中国の指導者が古来より能天気の遺伝子をもたないことを証明しています。

 したがって彼らは、米国覇権主義者の企みを読めるということです。だからこそ、近未

来、日本が米国に潰されても、超長期の未来、中国が米国に潰されるかどうかは定かであり

ません。



注1:山本尚利[2003]『日米技術覇権戦争』光文社

注2:外務省サイト『なぜ日本が安保常任理事国になるべきか』平成17年1月

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_kaikaku/j_rijikoku.html


注3:ベンチャー革命No.169『軍事・防衛技術の日本型MOT』2005年7月17日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr169.htm


注4:ベンチャー革命No.199『福井日銀総裁バッシングとポスト小泉シナリオ』2006年6月21日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr199.htm


注5:テックベンチャーNo.98『日本人孤立のシナリオ』2002年2月5日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/ATT00033.htm


注6:ベンチャー革命No.212『中国:ドル危機の救世主』2006年12月7日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr212.htm




山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm


?

スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kane552004

Author:kane552004
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR