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東アジア共同体より拡大EU準加盟の方がよい。

http://www5.plala.or.jp/kabusiki/
株式日記と経済展望より


佐藤優(著) 『国家の自縛』 「東アジア共同体」構想

は大東亜共栄圏の論理構成がそのまま使われている





2005年10月6日

佐藤優氏の『国家の自縛』が平成17年9月30日に発売。240ページ、1575円。発行・産経新聞出版、発売・扶桑社




「東アジア共同体」には中国の周辺世界「解放」意図が見える



《 今、「東アジア共同体」構想なるものが浮上していて論議を呼んでいますが、あれは私には中国が東アジアから米国を排除し、日米同盟を弱体化させて、中国主導の秩序をつくっていこうとする策謀としか思えません。佐藤さんはどう考えていますか。》



私は、東アジア共同体の環境が整ってないと思うんです。二つの点から。



まず第一に、アジアにおいて国民国家システムを超えるような共通の価値観があるのかという点についてです。私はないと思う。冷戦構造と変わったのは、韓国を中国とロシアが国家承認しただけ。あとはまったく変わっていない。その状況下で、アジア、北東アジアなどという地域でつなぐような共通の原理があるのか、現実的に考えなくてはいけないと。



かつて日本は大東亜共栄圏構想の中で、アジアの植民地解放を思い描いたわけですが、当時の日本は後発資本主義国だから基礎体力が強くならないと植民地解放はできない。そこで一時的に中国を植民地にすることによって力をつけねばならないと考えたわけです。そういう世界史的な使命感があった。大川周明も高山岩男もそのように考えた。これは主観的には日本帝国主義の拡大じゃないんですね。国家を超えた新しい共同体をつくろうという、すごく先駆的な欧州連合(EU)の拡大みたいな試みだったわけなんです。ところが基礎体力をつくるために中国を植民地にするということに日本の民族的な自己欺瞞があったと私は思うんです。



東アジア共同体構想は、中国が周辺世界を「解放」するという特別な使命感が見え隠れする。そのために日本を含めて周辺国は一時的に自已主張を抑えなさいと。こういう論理構成のように私には見える。われわれが失敗して大顰蹙を買った大東亜共栄圏の論理と基本的には同じだぞということになるんです。あの戦争について日本が「お詫びと反省」をしてるんだったら、東アジア共同体みたいな発想は出てこない。これが一点目。



もう一つはリアリズム。唯一の超大国である米国を抜きに何ができますか。米国と共通の価値観を完全に持っているかどうかっていうことが重要じゃないか。しかし価値観っていうのは二重底なんですよ。一つは広義の共通の価値観で、ロシアとも米国とも日本は一応、共通の価値観なんですね。ヨーロッパとも韓国とも。それは国家指導者が一応、自由な選挙によって、民意に基づいて選ばれてると。それで市場経済ができると。統制経済ではないと。そこがポイント。あと自由なメディアが一応あると。



そこまではいいんだけど、その先、細かいところまで価値観を完全に米国と一致させる必要はないと思うんです。それは固有の文化の否定になると思うんですよね。しかし米国は圧倒的に強い。なぜその米国を意図的にはずし、強いものと喧嘩するような選択をしないといけないのかと。



東アジア共同体という選択によって、米国ともぶつかるし、それから図式的にはプレイヤー、位置は違ってますけど、かっての大東亜共栄圏で失敗したところの論理構成がそのまま使われているし、全然私には、魅力がないんですよね。



大川周明の『米英東亜侵略史』を読んでいって、理論的にはあれだけ優れているものがどうして実践的に破綻してしまったのかと。かつてわれわれはアジアの人々を解放してやると善意のつもりだったが、結果的には人を踏みつけることもしたと。今度は中国は一応、善意に基づいて周辺を踏みつけるという論理構成になる。ある人が他の人を「善意で」踏みつけるっていう論理構成って異常なんですよ。踏みつけるのは悪い。踏みつけられるのは不愉快だ。だから東アジア共同体は全然魅力がない構想だなと思うんですよ。それから東アジア共同体構想には、その底流に無意識な反米ナショナリズムがあります。



実は「朝日新聞」のおもしろいところは、ある意味では「産経新聞」よりも時に極端なナショナリズムに針が振れることです。六〇年安保がそうだったと思う。それからもう一つはわれわれがやられたんですけれども、まず「朝日新聞」や『アエラ』が音頭をとり、それに「産経新聞」や「読売新聞」が続いた。「二島先行返還論」はけしからんと。しかも鈴木宗男がやってることが事実上の「二島返還論」だと。



最初、二〇〇〇年秋の時点で「朝日新聞」は日本政府は「二島返還論」に方針を転換したという誤報をやるわけですよ。これがもとになって二〇〇二年には鈴木宗男さんや私に対する国賊キャンペーンが展開されました。そうやって旗を振ったのは「朝日新聞」の一部の人たちですよ。



この人たちは、かつて「朝日新聞」が書いていた北方領土交渉の経緯と矛盾する記事を書いて、「二島よりも四島の方がいい」という国民の素朴なナショナリズムに訴えました。「鈴木宗男と佐藤優が、独断専行で国是に反するおかしな交渉をロシア側と進めている」というキャンペーンにおいて、朝日新聞が発行する『アエラ』が二〇〇一年春に先駆的役割を果たしたことは事実です。



もっともその後『検証日露首脳交渉』(岩波書店二〇〇三年)を著し、鈴木宗男さんや私が進めた北方領土交渉が、当時の官邸の指示に基づき、外務省首脳部の了解の下に行われたもので、国策に反する事実はなかったことを深い取材で明らかにしたのも、朝日新聞政治部(当時)の佐藤和雄さんと駒木明義さんでした。この本は斎藤勉さんの『日露外交』(角川書店二〇〇二年一と並ぶ、北方領土交渉についての一級の参考書です。



「朝日新聞」イコール左翼で国際協調主義、「産経新聞」イコール右翼でナショナリズムという図式は、間違えています。ここでも個別の報道に基づいて判断するという唯名論が重要です。(P231-P234)





(コメント)

佐藤優氏の「国家の自縛」は産経新聞の斉藤勉氏との対談を本にまとめたものですが、さすがは外交のプロであっただけに評論家では知りえないことがたくさん書かれている。前著の「国家の罠」や今回の「国家の自縛」などを読むと、マスコミで作り上げられた国政を捻じ曲げるラスプーチンといったイメージとは異なることがわかるだろう。



佐藤氏は鈴木宗男議員の引き立てで外務省の職員でありながら秘書のような政策秘書の役割をして、鈴木宗男議員の手足となって働いた。外務省の一職員が外交で一仕事しようと思ったら鈴木宗男議員のような有力議員と組まないとできないだろう。北朝鮮とのパイプ役で有名になった田中均参事官も有力議員の後ろ盾があるから出来る事なのだ。



今回は「国家の自縛」の中から「東アジア共同体」についての事を紹介してみます。私自身も東アジア共同体は中国版の大東亜共栄圏であり、内容は佐藤氏が指摘するように同じような論理構成なのだ。それに対して日本とアメリカは東アジア共同体構想にどのようなスタンスを取るのか、日本としては中国中心となるような東アジア共同体は認められないだろう。



アジアにも欧州共同体のようなものが出来れば理想ですが、欧州のような共通した価値観というものがアジアにあるのだろうか。中国にしても自由な選挙などは夢のまた夢であり、政治形態も異なっては緩やかな連合体すら無理だ。またアメリカを除いた共同体は単なる反米ナショナリズムしかないだろう。私としては以前にも書きましたが海洋国家連合と大陸国家連合のような形でまとめたほうが安定すると思う。






【ブリュッセル=浅田信幸】欧州連合(EU)とトルコが十七日、トルコのEU加盟交渉開始で合意したことを受け、EU議長国オランダのバルケネンデ首相は同日の首脳会議閉幕記者会見で「われわれは本日、歴史を記した」とその意義を強調しました。


 トルコのエルドアン首相は、EUとの交渉目的が「トルコの完全なEU加盟」と明記された事実を指摘し、「百パーセントではないが成功といえる」とこの合意を歓迎。その一方で、加盟条件と無関係な「新しい条件」が押し付けられたと不満を表明しました。


 EU二十五カ国首脳は十六日深夜、加盟交渉開始を決定しました。しかし、トルコは、その前提条件としてEUが要求したキプロス共和国承認に強い不満を表明。バルケネンデ首相が十七日未明から三度にわたってエルドアン首相と会談するなど、ぎりぎりまで厳しい交渉が続きました。


 最終的には、トルコが来年十月三日の加盟交渉開始までに「事実上」キプロス承認に通じる措置を講じることで妥協が成立しました。ただその承認が「正式」なものでないことで今後の交渉進展で再び問題となることも予想されます。




新たに加盟するのは、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニアの中東欧八カ国と、キプロス、マルタの地中海二カ国。十カ国の大量加盟はこれまで例がなく、EUは東方に大きく「版図」を広げる。

人口約四億五千万人は米国の約二億八千万人をはるかにしのぐ。国内総生産(GDP)の合計は約八兆九千五百億ドルで米国の約十兆四千百億ドルに迫り、日本の約三兆九千七百億ドルを大きく引き離す(世界銀行の世界開発指標二○○二年)。

ただ、今回の拡大では、域内GDPの合計は5%増えるにすぎない。新規加盟国の一人当たりGDPがEU平均の半分以下という大きな経済格差があるからだが、冷戦後、欧州再統合による平和と安定の実現を急ぐ政治判断が働いた。

東欧は既に、米欧日のメーカーが積極的に進出し、「欧州の工場」となりつつある。EU加盟により、新規加盟国への一層の投資促進が見込まれ、域内格差是正のために設けられたEUの各種基金を利用したインフラ整備も期待できる。さらに、拡大EUが国際的な経済交渉の場で「EU基準」を掲げて、影響力を増す可能性も高い。




蛇足 


拡大EUは加盟国、準加盟国を増やす方向なのであろう。イスラム、地中海からアフリカ、アジアへと広がっている。そのうち日本も加盟できるかもしれない。

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