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山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2007年2月9日


                           山本尚利


タイトル:不都合な真実:アル・ゴアの復讐


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1.アル・ゴア対ブッシュ・ジュニアの宿命の対決


 元米国副大統領アル・ゴアの地球環境問題啓発キャンペーン「不都合な真実」(本と映画)が世界中で注目されています。筆者はSRIインターナショナル(米国国際シンクタンク)勤務時代、プロジェクト業務で、90年代前半より2001年までクリントン政権時代の米国連邦政府の環境保護政策のモニタリング調査を継続していましたので、当時からアル・ゴアがいかに環境問題に熱心だったか、よく知っています。ちなみに、副大統領時代のアル・ゴアは、環境政策と並んで、NII(全米情報通信基盤)イニシャティブでも多大な功績を挙げています。今日のインターネット時代をもたらした歴史に残る政治家のひとりです。テロと戦争に明け暮れるブッシュ・ジュニアとは比べものにならないくらい平和志向の偉大なる政治家です。ところで、ポスト・ブッシュ・ジュニアの次期大統領候補の最右翼はヒラリー・クリントンといわれていますが、伏兵アル・ゴアも2008年の大統領選挙に再挑戦しようと狙っているのではないかといわれています。「不都合な真実」のキャンペーンを張っているのは、そのようなハラがあるのではないかという見方が確かに成り立ちます。しかしながら、アル・ゴアの環境運動は筋金入りであり、単に、次期大統領選挙の事前運動の一環とは断定できません。さて、アル・ゴアは、2000年11月の米大統領選挙で現大統領のブッシュ・ジュニアと大接戦を演じました。判定は翌2001年1月までもつれ込み、結局、僅差でブッシュが辛勝したことは今でも記憶に残っています。あとでわかったことですが、ブッシュ陣営はおおがかりな選挙不正を行っており、実は、アル・ゴアの方が僅差で勝っていたといわれています。アル・ゴアは徹底抗戦することもできたのですが、潔く引き下がり、ブッシュ・ジュニア大統領が誕生しました。筆者の読みでは、あのとき、もしアル・ゴアが選挙の正しい結果どおり、大統領になっていれば、暗殺か不審な事故死で、ケネディ大統領と同じく、途中で引き摺り下ろされていたはずです。なぜなら、ブッシュ政権の黒幕は絶対に、これ以上の民主党政権の続投を許さなかったからです。これは、われわれの想像を絶する恐ろしい執念です。なお、ブッシュの黒幕とは、戦争屋(注1)を指します。


 当時の戦争屋にとって、平和志向で環境運動家のアル・ゴアが大統領になることは、極めて“不都合”なシナリオであったのです。


 一方、アル・ゴアは戦争屋の怖さを冷静に熟知しており、ブッシュに楯突いてケネディの二の舞となることをとりあえず避けたと思われます。


 なぜ、戦争屋が2000年11月、政権奪回に執念を燃やしたかというと、パパ・ブッシュ時代の第一次イラク戦争(湾岸戦争)の後、1992年、ビル・クリントンを立てた銀行屋(注1)に政権を奪われたからです。そのおかげで戦争屋の描いた中長期中東戦略がすっかり狂ってしまったのです。さらにあろうことか、2000年まで2期8年に渡ってクリントン民主党に政権を獲られてしまった点も誤算でした。この間、戦争屋は、密かにイラク・フセイン政権打倒計画を練っていたのでしょう。戦争屋が所期の目的を達成するため、2000年の大統領選挙では、ポスト・クリントンの覇権を是が非でも奪回する必要があったのです。その結果、2001年1月、ブッシュ政権誕生後、同年の9.11事件、アフガニスタン侵攻、そして2003年の第二次イラク戦争と、戦争屋のシナリオどおり、堰を切ったように歴史が刻まれてきました。もし、正当な選挙結果どおり、アル・ゴアが大統領になっていれば、世界の歴史は大きく違っていたわけです。


 たとえば、アル・ゴアが大統領になっていれば、今頃は米国中心に世界的規模で自動車革命が起きていて、全世界をZEV(排気ガスゼロの車、すなわち燃料電池車や電気自動車)が走っていたことでしょう。


 ところが現実には、ブッシュ・ジュニアは2001年、大統領に就任するや、90年代にアル・ゴアの進めた環境保護政策も環境技術の研究開発も、ことごとく潰してきました。京都議定書への批准を拒否したのはその象徴的出来事です。


アル・ゴアとしては、ブッシュ政権のウラを熟知しているだけに、自分が大統領になっていたら、こんなひどい米国にはならなかったと、今日まで6年間、さぞかし悔しい思いをつのらせてきたのでしょう。このままで終わりたくない、この思いが「不都合な真実」キャンペーンとなって地球規模で爆発しているのではないでしょうか。


 しかもアル・ゴアはさすが、極めて冷静で戦略的です。ブッシュがレームダックになったのを見計らって、「不都合な真実」の花火を高々とぶち上げて反撃を開始しています。リスクマネジメントがしっかりできている。たいしたものです。


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2.アンフェアな勝者、ブッシュへのあだ討ちか


 さて、現在のアル・ゴアの「不都合な真実」キャンペーンは世界中の人々の共感を呼んでいます。確かに、近年、世界的規模で多発する気象異常現象に、世界の誰もが不安をぬぐいきれません。最近のアル・ゴアの活動は、ブッシュ・ジュニアのイラク戦略泥沼化の闇とのコントラストをいっそう際立たせています。このような際立ったコントラストに接して、なお、アル・ゴアではなく、ブッシュ・ジュニアに人間的魅力を感じる米国民がいるとすれば、いったいどんな人なのでしょうか。そのような米国人は狂っているとしかいいようがありません。アル・ゴアの活動はブッシュ政権の最期の悪あがき、すなわちイラン攻撃戦略(注2)に対する阻止運動のようにみえます。穿った見方をすれば、汚い手で政権を奪い取ったブッシュ個人への復讐のようにもみえます。さすがのブッシュもレームダックと化した今、アル・ゴアの反撃にまったく手出しできません。ところで一般的に、負けず嫌いな米国人はわれわれ日本人の想像を超えるほど、アンフェアな行為を忌み嫌います。とりわけ正義感の塊のような潔癖アル・ゴアは、ことさらアンフェアネス(不正義)を嫌うはずです。アル・ゴアは内心、ブッシュが「アンフェアな勝者」であることを死んでも許さないでしょう。この白人の怨みのエネルギーは、淡白な日本人には理解できないほどしぶとく強い。忘れもしない2000年11月、大掛かりな不正選挙で辛勝したことを、ブッシュ自身も後ろめたく思っているはずです。アル・ゴアは「不都合な真実」キャンペーンによって、ブッシュにとっての「不都合な真実」(不正選挙によるアンフェアな勝利)をチクチク、突いているようにみえます。これほどアル・ゴアらしいスマートな復讐があるでしょうか。最近のアル・ゴアの堂々たる風貌と、支持率低下に怯える臆病ブッシュの風貌を比較すれば、アル・ゴアが、今、まさに仇を取っていることが如実に表れています。神様はやはり、最後は正義の味方なのでしょうか。ほっと救われるような思いです。


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3.地球環境問題は米大統領選の争点となりうるか


 地球環境問題は中東問題と密接につながります。ブッシュ政権の中東戦略は、結局、中東全域の石油利権奪回にあります。有限資源である石油の産出は地球規模でコントロールしない限り、地球環境問題は決して解決できません。その意味で、地球環境問題は、十分、次期米国大統領選の争点となりうるでしょう。結局、石油、天然ガス、石炭など、化石燃料の消費量を地球規模で減らすことが二酸化炭素排出量(地球温暖化の原因といわれている)を減らすのに、もっとも効果的です。超長期的に地球を統一支配しようとする国際寡頭勢力は、戦争屋にしろ、銀行屋にしろ(注1)、世界統一政府の樹立を目指しているといわれています。その世界統一政府の下で、地球規模でエネルギー消費のコントロールを行おうとしているのではないでしょうか。もし、世界中の人々が、米国人なみにエネルギーを多消費すれば、地球は間違いなく破滅するでしょう。ちなみに米国人は一人当たり、中国人の8倍のエネルギーを消費しています。その意味で、世界支配を目指す国際寡頭勢力が、超長期計画で地球人口を半分にしたいと考えるのはもっともです。誰かが犠牲にならざるを得ない。また、中国やインドなどの人口大国が無制限に経済成長すると、地球規模でエネルギー危機が不可避となり、西欧先進諸国のエネルギー多消費型国民生活にしわ寄せがくるわけです。そこで国際寡頭勢力は当然、西欧先進国中心に居住する白人の快適生活を優先するはずであり、超長期未来、エネルギー資源争奪をめぐる白人対有色人種の対立(アルマゲドン)は避けられなくなるでしょう。


 その意味で、ブッシュ政権の黒幕、戦争屋は、きわめてリアリストであり、京都議定書批准へ協力しても、それは偽善的行為にすぎず、焼け石に水であると知っているのでしょう。彼らは、有限の石油利権を独り占めにして自分たちだけがハッピーに生き残れる理想郷を常に模索しているのです。戦争屋はおそらく、イラク戦争もイラン攻撃計画も、究極的には、その彼らの理想郷模索の道程として位置づけていると推察されます。その意味で京都議定書批准を拒否したブッシュ政権とて、決して地球環境問題に無頓着というわけではありません。否、彼らこそが、自分たちだけが快適生活できる地球環境をリアリスティックにかつ真剣に追求しているのではないでしょうか。彼らの考えは、とてもじゃないが、国際連合や環境問題国際会議で公表できないのです。なぜなら、彼らは常にこのように考えています。すなわち、国連に加盟している未開発国の人口削減あるいは絶滅、そして開発途上国の経済発展の抑制こそが、彼らにとっての地球環境維持への最善の解決策であると・・・。


 仏の顔をした偉大な政治家アル・ゴアも白人であり例外ではありません。彼本人はマジメ一本槍でも、彼のスポンサーは、ブッシュ政権の黒幕と比べて、地球環境問題の解決策に関する考え方において似たり寄ったりでしょう。


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注1:ベンチャー革命No.210『米国中間選挙:戦争屋から銀行屋へバトンタッチ』2006年11月12日


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr210.htm
 


注2:ベンチャー革命No.218『米・イラン戦争:日本のみ石油危機到来』2007年1月17日


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr218.htm
 


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山本尚利(ヤマモトヒサトシ)


hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp
 


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm
 


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm


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