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山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2007年3月18日

                           山本尚利

タイトル: 日本のオピニオンリーダーのお粗末さ



1.朝日新聞に大恥を曝された二人の著名なオピニオンリーダー

 2007年3月16日の朝日新聞に掲載された「オピニオンリーダーに聞く。検証:イラク報道と

言論」は実に傑作でした。そこには東大教授、田中明彦氏、および元大阪大教授で劇作家、

山崎正和氏の、米国の始めたイラク戦争と小泉政権の対米外交に関する過去の言論が検証さ

れています。田中氏は、2003年3月9日と2004年5月2日の毎日新聞に、小泉政権の米国のイラ

ク戦争支持、自衛隊イラク派兵を「賢明な選択」と高く評価するオピニオンを発信されてい

ます。一方、山崎氏は、2003年3月7日と2005年4月24日の読売新聞に、イラク戦争に関して

「米国に道義性がある」というオピニオンを発信されています。2007年3月16の朝日新聞に

は、わざとらしい大きな顔写真つきで両氏の言い訳的言論が掲載されています。かりそめに

も政治・経済・文化・外交の専門家を自認する学者にとって、これほど恥さらしの記事はな

いでしょう。こんな失礼なことをされたら、今後、お人好しの日本人読者は誰一人、両氏の

オピニオンを傾聴する気はなくなるし、その著作も読む気がしなくなると思います。著名文

化人はおのれの言論によほど気をつけないと、一生の不覚となることを、朝日新聞はまざま

ざと見せ付けてくれました。



2.イラク戦争に関する筆者の過去オピニオンの検証

 2003年3月、米国の始めたイラク戦争に関して、筆者は、2003年3月22日のメルマガ(注A)

にて、イラク戦争は「米国にまったく正義のない戦争」であると断じています。

 筆者の当時のオピニオンは、上記、山崎氏のオピニオンと正反対であることが拙稿メルマ

ガの過去ログから検証されました。山崎氏は米国人ではなく日本人ですが、当時なぜ、イラ

ク戦争の正義(道義性)が米国にあるというような判断をされたのか、同氏はどのような対

米観をお持ちなのか大変疑問です。

 2003年12月、当時の小泉政権は自衛隊イラク派兵を決定していますが、当時、筆者はメル

マガ(注B)にて、この決定を痛烈に批判しています。それに対し、上記、田中氏は小泉政権

がイラクへの自衛隊派兵を決定したことを高く評価しておられます。しかも、現在において

もなお、当時の小泉政権の判断は正しかったと信じておられるようです。ここまでくると、

もはや強弁、詭弁の類にしかみえませんが・・・。

 筆者は、2003年4月29日のメルマガ(注C)にて、進歩的文化人の対米観の甘さを痛烈に批判

していますが、山崎氏や田中氏に代表される多くの日本の進歩的文化人が、両氏と似たり寄

ったりのオピニオンを垂れ流していたことが窺われます。なんというお粗末さでしょうか!

 筆者の睨んだ通り、日本の文化人、知識人の対米観の多くは大甘で狂っていることが、イ

ラク戦争にまつわる言論検証を通じて、ここに見事に立証されました。一時が万事ですか

ら、こういう文化人たちの、米国に関するすべての言論や論評は推して知るべしでしょう。

 さて、筆者は2003年7月30日、光文社より「日米技術覇権戦争」を刊行、これまで、早稲田

大学ビジネススクールのMOT専修(平均年齢40歳前後の社会人対象)や、母校、東京大学工学

部大学院の技術経営学戦略専攻(20歳台前半の大学院学生対象)の授業にて、サブテキスト

として使用してきました。ここには、筆者の専門である技術経営論(MOT)の観点から、筆者

の対米観(1986年から2003年までの米国シンクタンクSRIインターナショナルでの業務経験で

形成された対米観)を余すところなく記述しています。ところが、現在の日本では、田中東

大法学部教授(国際政治学)のような文化人の対米観が主流であるためか、筆者の講義を受

講した東大大学院生から、筆者は思想の偏った最低の変人(匿名の学生アンケート結果)と

酷評されているありさまです(笑)。



3.仕掛け、壊し、奪い去るアメリカの論理

 原田武夫著『仕掛け、壊し、奪い去るアメリカの論理』(ブックマン社、2007年1月刊行)

には、筆者の対米観を裏づける内容が、親切にも専門用語解説つきで、極めてわかりやすく

記述されています。原田氏の「米国は“奥の院”に支配されている」という仮説は、ジョセ

フ・ナイ氏(ハーバード大学ケネディ行政大学院の元院長)の「世界経済は私有化されてい

る」という発言(注D)によってかなり裏付けられます。さて、原田氏の本には東大講義録と

いう副題がついていますから、筆者の東大講義のサブテキストと偶然、よく似ています。ち

なみに専門用語解説つきの本というのは若年学生向け単行本として面白いアイデアだと思い

ます。ああそうか、若い学生は、ほとんどの専門用語の意味がわからないのかと、納得しま

した。ところで原田氏は、30歳代後半、東大法学部中退の外務官僚出身の独立コンサルタン

トです。上記、田中東大教授とは正反対の対米観をもつ人物が東大法学部から生まれたのは

実に興味深い珍現象です。さらに筆者や原田氏のような対米観の持ち主が東大で講義すると

いう事実から、東大の懐の深さを感じます。ちなみに、東大は2007年1月16日、ジョン・ボル

トン元米国国連大使(ブッシュ政権を仕切ってきたネオコンのひとり)に講演させていま

す。こちらは、上記、田中氏の同僚、北岡伸一東大法学部教授(政治外交)の招聘のようで

す。北原教授は、ブッシュ政権のイラク戦略が、米国内はおろか世界中から失敗であったと

みなされている昨今、いったい何のために、どういうつもりでボルトン氏(イラク戦争仕掛

け人のひとり)を東大に招いて講演させたのでしょうか。ちょっと理解しかねます。東大法

学部の鬼子、原田氏は、失礼ながら対米観がズレている(あるいは本意を捻じ曲げて親米化

しているのか)としか言いようのない田中教授や北岡教授の教え子ということです。なんと

いう面白いコントラストでしょうか。

 さて、これまで、さんざん奇人変人扱いされてきた筆者の対米観のほうが、上記、東大法

学部の教授らの言論より、まだ的を射ているらしいことは、上記、イラク戦争に関する言論

の比較検証から判明しましたが、そのことは最近の米国の北朝鮮外交の変節事件からも窺え

ます。筆者は、米朝外交の八百長性を、2004年時点でとっくに見破っていました(注13)。

この猫の目のような米国極東外交の変節事件を通じて、多くのお人好し日本国民で「アレ

ー!何か変だな?」と感じない人は、小泉元首相に負けないくらい、よほどの鈍感力の達人

でしょう。国際政治・外交研究の専門家である東大法学部教授ですら、その対米観に疑問符

がつくわけですから、安倍内閣あるいは外務省の対米観がおかしくなるのは無理もないわけ

です。ましてや一般国民や若い東大生には、確固たる対米観が確立されるはずもないと思い

ます。確固たる対米観の確立していない政治家や官僚が対米外交を行うとどうなるか、それ

は、日本政府の今日の北朝鮮外交の顛末をみれば一目瞭然です。良い子の小学生からも嘲笑

されるほどの惨めさです。ちなみに、日本の防衛外交研究の第一人者、拓殖大教授、森本敏

氏(小泉政権の対米防衛外交支援者)が、先日のCATV番組(葉千栄東海大教授の時事番組)

にて、妥協を重ねているようにみえるクリストファー・ヒル国務次官補の北朝鮮外交を批判

しておられましたが、米国の北朝鮮外交(八百長外交)の変幻自在の豹変・変節が織り込み

済みではなさそうだったので、なんだ、見掛けの割りにはずいぶん、ナイーブな人物だった

のだなと感じました。



注A:ベンチャー革命No.035『ポスト・イラク戦争』2003年3月22日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr035.htm


注B:ベンチャー革命No.048『世界まれなる人道支援の武装軍隊』2003年12月28日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr048.htm


注C:ベンチャー革命No.038『対米観の甘い文化人』2003年4月29日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr038.htm


注D:ベンチャー革命No.075『世界私有化現象』2004年5月9日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr075.htm




補足:筆者の対米観は、小泉政権の対米隷属主義への批判の足跡を辿ることによって理解で

きます。(注1~注13)

注1:ベンチャー革命No.204『日本はなぜ、これほどまでに執拗に仕掛けられるのか』2006

年8月26日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr204.htm


注2:ベンチャー革命No.183『ポスト小泉を占う』2006年1月11日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr183.htm


注3:ベンチャー革命No.177『怖くなった小泉首相』2005年9月17日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr177.htm


注4:ベンチャー革命No.157『現実化する日本の孤立シナリオ』2005年4月10日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr157.htm


注5:ベンチャー革命No.149『2005年日本国の自然死』2005年2月12日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr149.htm


注6:ベンチャー革命No.132『アジア兄弟喧嘩の顛末記』2004年12月19日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr132.htm


注7:ベンチャー革命No.121『小泉首相の外資的人事手法』2004年10月3日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr121.htm


注8:ベンチャー革命No.116『日本の政権党は小泉党』2004年9月14日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr116.htm


注9:ベンチャー革命No.113『支配構造の研究』2004年8月28日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr113.htm


注10:ベンチャー革命No.104『小泉首相の危険な挑発』2004年8月11日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr104.htm


注11:ベンチャー革命No.98『始まった郵政民営化議論』2004年7月22日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr098.htm


注12:ベンチャー革命No.94『小泉首相こそ真の愛国者?』2004年7月14日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr094.htm


注13:ベンチャー革命No.83『日米対北朝鮮:八百長の敵対関係』2004年6月5日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr083.htm




山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm


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