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山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2007年5月4日

                           山本尚利

タイトル: 安倍首相訪米と次期戦闘機候補F22購入の行方



1.安倍首相訪米:F22購入の商談失敗か

 2007年4月26日午前(日本時間)、安倍首相は、2006年9月末に首相就任後、半年以上も経

てようやく訪米を果たしました。これまで日本国の首相は就任後、まず訪米して、ときの大

統領に挨拶する(仁義を切る)のが常でしたが、どういうわけか、安倍首相の場合、遅きに

失した訪米旅行でした。しかも、ブッシュ大統領と27日会談した翌日(4月28日)には、早く

も中東に移動しています。5月3日にエジプトから帰国した安部首相にわずか遅れて、久間防

衛大臣も訪米、4月30日に日米防衛相会談を行っています。安倍首相との関係が取沙汰される

韓国統一教会系列のワシントンタイムズは、タイミングよく日本防衛省は次期主力戦闘機FX

として2010年までにロッキード・マーチン製F22ラプター(猛禽類)、すなわちステルス戦闘

機(250億円~300億円/1機)を100機、購入する計画(総額2.5~3兆円)があると報じているそ

うです。ちなみに、塩漬け長期対米債権を含み300兆円から400兆円にのぼるといわれる日本

の対米債権累積(ただし、公式には100兆円レベルと発表されている)を減らすにはこれでも

焼け石に水ですが・・・。

 ネット情報では、安倍首相の今回の訪米の隠された目的とは、F22大量購入の商談(?)で

あったのではないかというもので、特に、韓国マスコミが警戒を強めているようです。

 さらにネット情報によれば、その商談は結局、ペンディングになっているようです。特

に、中国共産党が、日本のF22保有を容認するはずがなく、この商談が一筋縄に行かないのは

十分、納得できます。



2.日本に中古(ちゅうぶる)技術を売りつける戦争屋のいつもの手口

 安倍首相訪米の隠された手土産といわれるのは、上記のように次期戦闘機FX購入商談であ

ったかもしれません。(筆者の経験では、米国人は何か実弾(タマ)をみせないと相手にし

てくれませんから)その最有力候補機F22を製造・販売するロッキード・マーチン社は、F22

の後継機である最新鋭戦闘機F35ライトニング(雷電)(JSF:Joint Strike Fighter)をす

でに開発中です。総額30兆円といわれるJSF新製品技術開発および調達の国防予算をロッキー

ド・マーチンへ配賦する意思決定をしたのは、前国防長官ロナルド・ラムズフェルド氏で

す。彼は9.11事件のドサクサに紛れて、2001年10月下旬にロッキード・マーチンとこのJSF技

術開発・調達の巨額長期契約を結んでいます(注1)。つまりF22はステルス戦闘機としては

技術的にも、性能的にも、もはや中古(ちゅうぶる)機(陳腐機)であるということです。

 もちろん、安倍首相の後ろに控える防衛省は、そのことを百も承知の上で購入計画を立て

ているでしょう。なぜなら、米国連邦政府が日本に最新鋭の軍事技術を売るはずがないこと

を過去の苦い経験で知っているからです。

 さて、2006年秋までブッシュ政権を闇支配していた戦争屋(軍事・エネルギー系寡頭勢

力)(注2)の所有企業であるロッキード・マーチンの技術戦略とは、近未来に陳腐化する

であろうF22を日本に大量に売りつけて、その売却資金を最新鋭F35(JSF)の技術開発費に回そ

うというものです。技術経営(MOT)的には、極めてありふれた新製品開発ポートフォリオ戦

略です。たとえば、カーマニアが、中古化した現有愛車をできるだけ高く売って、ニューモ

デルへの買い替え資金に充当する消費行動とまったく同じ理屈です。

 ところでロッキード・マーチンのこのありふれた新製品開発ポートフォリオ戦略には先例

があります。それは、同社製の地対空誘導弾パトリオット3(迎撃ミサイルPAC3)です(注

3)。

 日本本土あるいは米国本土に北朝鮮からのミサイル攻撃(注4、5)があった場合、それを

迎撃する目的で今、日本全土(米国本土を守るための防衛フロント)にロッキード・マーチ

ン製のPAC3が配備されつつあります。

 しかしながら、ロッキード・マーチンはイスラエル国防軍と共同で、イスラエルでアロー

2というPAC3の後継の最新鋭迎撃ミサイル・システムを開発中であるといわれています(注

3)。彼らは近未来、陳腐化するであろうPAC3を日本に高く売りつけて、その売却資金をア

ロー2の技術開発費に回そうという新製品開発戦略をもっているのでしょう。日本の防衛省

はそれを百も承知でPAC3を輸入し、将来的にはPAC3をMHI(三菱重工)にライセンス生産(国

産)させることを意図しています(注3)。これによって、ミサイル防衛技術を効率よく獲

得できるわけです。

 ところでMHIと防衛庁は1980年代前半、国産戦闘機FS-Xを開発しようとしたのですが、当時

の米国連邦政府の猛烈な圧力によって、FS-X国産計画が潰され、その代わり、当時すでに、

陳腐化していた米国ゼネラルダイナミックス社(現在、ロッキード・マーチンの子会社)製

の戦闘機F16の設計図を無理やり押し付けられて、MHIがやむを得ず国産戦闘機F2(支援戦闘

機)をライセンス生産させられたという苦い経験があります(注6)。

 しかしながら、日本の優秀な技術者はしたたかであり、1を聞いて10を知る応用力がありま

す。(ただし、1のヒントがないと10の応用力が発揮されない欠点がありますが・・・)たと

え、中古(ちゅうぶる)技術でも改良に改良を重ねて、場合によっては、米国を凌ぐ可能性

を秘めています。そのことは、自動車や電子・電機機器などの非軍事産業分野における技術

開発の過去の歴史(MOT史)を振り返ればよくわかります(注6)。



3.急浮上する銀行屋勢力(アンチ安倍)に袖にされた安倍首相

 さて既述のようなロッキード・マーチン製品の対日技術供与(中古技術の供与)の背景

は、筆者の長年の持論である「米国覇権産業論」で説明することができます(注6、7)

 米国連邦政府中枢を陣取る米国覇権主義者は、米国の国益にとって最優先の戦略技術(覇

権技術)、とりわけ最新鋭の軍事技術は決して、日本を含む他国に移転・移譲しないと考え

ます。(ただし、イスラエルを除く)逆に言えば、軍事技術であっても中古(ちゅうぶる)

化した技術(あるいは陳腐化した技術)は移転(デフェンス・コンバージョン)することも

ありうるわけです。その代表例がインターネット技術やGPS技術です。

 米国において軍事技術を含む覇権技術の他国移転は当然、連邦議会の承認を必要としま

す。F22の技術体系は、米国覇権主義者の立場では、まだ国家的覇権技術のカテゴリーに入る

でしょう。なぜならF35はまだ実用化されていない(2008年実戦配備予定)からです。そこ

で、戦争屋は日本にF22を売りたくても、連邦議会に反対されれば、実現できません。

 ところで現在のブッシュ政権は、戦争屋(軍事・エネルギー系寡頭勢力)から銀行屋(国

際金融系寡頭勢力)に覇権が移譲されつつあります(注2)。さらに2006年11月の中間選挙

以降、連邦議会は周知のように米民主党優位です。銀行屋に支配される民主党は、クリント

ン政権時代を振り返ればわかるように、アジア太平洋地域では、日本より露骨に中国を重視

する政党です。一方、戦争屋の在日傀儡(かいらい)である日本の親米右翼一派に担がれて

きた安倍首相が、能天気にも、ブッシュ政権残党の戦争屋の喜ばせるため、F22購入の商談を

手土産に、今回、勇んで訪米したと思われます。ところが、現在、米国連邦政府中枢で覇権

を握りつつある勢力、すなわち中国市場を重視する銀行屋系勢力は、安倍首相を時代錯誤の

ナショナリストと決めつけて快く思っていません。米国マスコミの安倍評価が概して低いの

はそのためでしょう。中国重視の銀行屋系勢力が日本より中国共産党の意向を重視するのは

当然です。そして、彼らは中国共産党の機嫌をとるために、F22を日本に売るのを反対するで

しょう。レイムダック化しつつあるブッシュ大統領も、台頭する銀行屋系勢力の意向に逆ら

えないはずです。しかしながら、その変化を安倍首相およびその取り巻き(頓珍漢政権)は

読めていなかったと思われます。その結果、F22商談は宙に浮いたかっこうになっているので

はないでしょうか。この後、次世代の軍事先端技術体系の研究開発資金をなんとか日本から

巻き上げようと企む戦争屋がどのように巻き返してくるか、非常に懸念されます。



注1:ベンチャー革命No.223『タミフルとラムズフェルドの接点』2007年2月28日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr223.htm


注2:ベンチャー革命No.210『米国中間選挙:戦争屋から銀行屋へバトンタッチ』2006年11

月12日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr210.htm


注3:ベンチャー革命No.169『軍事・防衛技術の日本型MOT』2005年7月17日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr169.htm


注4:ベンチャー革命No.200『北朝鮮ミサイル:日本国民をもてあそぶ玩具』2006年7月5日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr200.htm


注5:ベンチャー革命No.201『北朝鮮脅威:国民の不安と苛立ち募る』2006年7月9日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr201.htm


注6:山本尚利著『日米技術覇権戦争』光文社、2003年

注7:テックベンチャーNo.56『平成尊王攘夷論(スーパー二流国の勧め)』2000年3月28日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/ATT00009.htm




山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm

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