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山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2007年7月22日

                           山本尚利

タイトル: 直下型地震に襲われた東電柏崎原発の不運



1.新潟中越沖地震が東電に与えた打撃

 2007年7月16日月曜日(海の日)午前10時13分、新潟中越沖地震(マグニチュード6.8、震

源深さ10数km)が発生、最大震度6強の直下型地震でした。この地震の特徴は震源深さが極め

て浅い点にあります。つまりマグニチュードがそれほど大きくなくても被害が大きくなると

いうことです。さらに不幸なことに、震源地域に世界最大の東京電力(株)柏崎刈羽原子力

発電所が立地している点が挙げられます。当原発には7基のBWR(GEタイプの沸騰水型軽水

炉)があり合計820万kWの出力を有しています。当該原発は本地震で60件以上の大小トラブ

ルを起こし、地元柏崎市より運転停止命令を受けています。

 さて東京電力は経営規模において世界最大の電力会社で、7500万kWの設備出力(2006年)

を必要としていますが、自社分出力6200万kWです。その差1300万kWは東北電力など他社か

ら融通を受けています。上記の柏崎原発が長期に渡って運転再開ができない場合、東電は他

社からの融通量を増やすことで対応せざるを得ませんが、これから夏場需要ピークを控え

て、大きな痛手であることに変わりありません。



2.柏崎原発の地震後トラブルとは

 地震発生当初、3号機付属の変圧器施設で油漏れ火災(黒煙立ち上る)が発生、世界中にそ

の映像が流され、日本のみならず、世界の人々を不安に陥れました。この黒煙火災映像は消

防士が消火活動する気配がまったくない様子を映し出しており、発火後2時間も放置されたこ

とを裏付ける決定的映像であったことが、余計に世界中の人々の不安を募らせました。米国

のニュース専門放送局CNNは、変圧器火災の黒煙の背後に位置する3号機建屋から白煙が昇っ

ている映像を放映したそうです(日本のTVニュースは黒煙映像のみ)。

 また地震発生後、7号機の主排気筒放射線モニターが微量ながら放射性のヨウ素、クロム、

コバルトを検出したと発表されています。さらに使用済み核燃料貯蔵プールの汚染水がオバ

ーフローして排水溝に流れ、海水中に放出されたことも発表されています。

 これら一連のトラブル発表が正しいとすれば、原発トラブルとしては、いずれも軽微であ

ることから、筆者は逆に、もっと深刻なトラブルが隠蔽されているのではないかと疑ってい

ました。なぜなら、3号機建屋の白煙(建屋内火災か?それともタービン駆動用沸騰水の水蒸

気漏れか?)に関連すると思われるトラブル発表がないからです。もし原子炉沸騰水の水蒸

気漏れならば、放射能汚染されているはずですから非常に深刻なトラブルのはずです。その

ため、変圧器火災の消火活動が行われなかったのは、東電の公式発表のように、小型消火ポ

ンプ車の使用方法がわからなかったからではなく、火災現場の放射能汚染が危険レベルであ

ったからではないかと疑っていました。要するに地震直後、変圧器の火災現場に消防士が近

寄れなかったと考えるのが自然です。

 しかしながらその後、大量放射能漏洩があったのではないかという疑いを晴らすかのよう

に、地震発生後6日経た7月21日、東電は柏崎原発サイトへの報道陣の立ち入りを許可しまし

た。この事実から、当原発には、確かに軽微のトラブルは起きたものに、致命的なトラブル

は起きていない可能性が高まりました。



3.柏崎原発の耐震安全性とは

 柏崎原発の7基の原子炉関連構造物はいずれも、地下の堅牢な岩盤上に直接、建設されてい

るそうです。東電の公式発表によれば、1号機に設置された地震計の最大記録値の水平加速度

は680ガル(重力加速度1Gは980ガル)であり、設計値273ガルの2.5倍ということです。

報道によれば、そのほかの原子炉の震動加速度(地震計記録最大値)は、2号機606ガル(設

計値167ガル)、3号機384ガル(同193ガル)、4号機492ガル(同194ガル)、5号機442ガ

ル(同254ガル)、6号機322ガル(同263ガル)、7号機356ガル(同263ガル)だったそうで

す。

 柏崎原発の原子炉7基は同一敷地内に建設されているのもかかわらず、なぜ耐震設計加速

度が異なるのか定かではありませんが、いずれにしても設計値が大幅に甘かったのは確かで

す。

 今回、東電柏崎原発は、これほどまでに耐震設計値を上回る直下型地震に襲われても、致

命的な原子炉設備破壊に至らなかったのはまさに不幸中の幸いでした。マスコミでは、東電

の安全管理の不備や隠蔽体質が批判されていますが、別の見方をすれば、大幅に耐震設計値

を上回る直下型地震(原発にとってもっとも危険な地震)に襲われても、運転中のすべての

原子炉が安全に緊急停止したことは確かであり、それに関しては、むしろ高く評価されるべ

きでしょう。ところで、これほど耐震設計値を上回る直下型地震に襲われたにもかかわら

ず、当該原発が致命的破壊を免れたのはなぜでしょうか。それは放射能漏洩を避けるための

強化コンクリート壁および厚板の鋼製圧力容器の遮蔽構造物で厳重に防護された原子炉構造

体は結果的に、耐震強度に相当の余裕を持っているからであると思われます。その意味で耐

震安全上、問題となるのは、原子炉格納構造物そのものの破壊より、外部配管構造物の破壊

や原子炉運転制御系システムの故障にあるといえます。

 しかしながら、原発安全設計に対して厳しい観点に立脚すれば、柏崎原発サイトにおい

て、耐震設計値を大幅に上回る直下型地震が実際に発生してしまったのですから、当該原発

の耐震設計値を、少なくとも中越沖地震なみの高レベルに上げない限り、柏崎原発は運転再

開できない理屈となります。

 ちなみに中部電力(株)のホームページによれば、同社浜岡原発は東海地震を想定し、耐

震設計の見直しが行われ、岩盤上基準地震動を800ガル(耐震設計値)に設定しているようで

す。また、とりわけ問題視されている浜岡原発4号機は自主的に1000ガルを設計基準値として

耐震裕度向上工事を行うようです。

 この意味で、東電の柏崎原発も、中電浜岡原発と同様に、耐震設計基準の見直しと、耐震

裕度向上工事が不可避となりそうです。



4.柏崎原発はなぜ、耐震設計値を大幅に上回る地震に襲われたのか

 東電柏崎原発に関して筆者が素朴に疑問に思うことは、同原発の耐震設計値を大幅に上回

る直下型地震がなぜ発生したのかということです。耐震設計の基準値は地域によって異なり

ますが、その基準値は、その地域で過去に発生した地震の統計的記録を参考に決定されてい

るわけです。決して、適当に決められているわけではありません。にもかかわらず、今回、

東電柏崎原発を襲った地震が、設計想定地震の2倍も3倍も大きかったのです。

 2007年7月16日に発生した中越沖地震とならび、比較されるのが、2004年10月23日に発生し

た中越地震であり、この地震もマグニチュード6.8で、震源深度13kmと地震規模も、タイプ

も、当局から発表されている地震発生メカニズムも今回の中越沖地震と酷似しています。

 東電柏崎原発の1号機の運転開始は1985年で、7号機の運転開始は1997年です。少なくと

も、この時期には、中越地震や中越沖地震規模の直下型大地震が襲来することは想定されて

いなかったはずです。なぜなら、1997年以前には、柏崎刈羽地域に、中越地震や中越沖地震

のような震源の浅い直下型地震の発生記録はなかったはずだからです。だからこそ、柏崎原

発の耐震設計値は大きくなかったのです。東電が勝手に耐震設計値を下げたのではないでし

ょう。

 ところでネット上の情報(注1)によれば、中越地震の震源と中越沖地震の震源を結ぶ直

線上の中央部に位置する長岡市深沢という地点において帝国石油(株)の請け負いによる液

化炭酸ガスの地下注入実験ポイントが存在するそうです。これは地球温暖化の原因といわれ

る大気中の炭酸ガス削減のための実験のようです。この実験は(財)地球環境産業技術研究

機構(RITE)の主導によって実施されていますが、日本において、なぜこのポイントが日本

の中の唯一の実験ポイントとして唐突に選ばれたのか不思議です。この実験によって2003年7

月より1年半かけて1万トンの炭酸ガスが中越地域の地下1100mの帯水層に注入されたようで

す。炭酸ガス注入ポイントは地下1100mですが、上記の両地震の震源深さはその10倍以上の

10数kmですから、地中に閉じ込められた炭酸ガスの膨張圧が直接の原因で地震を引き起こ

したとは考えにくいわけですが、被災した中越地域の天然地下水に炭酸ガスが溶け込んでシ

ャンペン(栓を開けるときポンと大きな音を立てて栓が吹き飛ぶ)のようになっているのは

確かでしょう。なにしろ1万トンの炭酸ガスが注入されたわけですから。

 この炭酸ガス注入実験と中越、中越沖地震の間に因果関係があるのか、ないのか至急、調

査する必要はあるでしょう。



注1:新・地震学セミナー 
http://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs2/index.html




山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm

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