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山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2007年8月5日

                           山本尚利

タイトル: 絶体絶命:安倍氏の行方



1.衆参ねじれ現象の出現

 2007年7月29日に行われた参院選挙で、野党第一党の民主党が圧勝、自公与党の議席は過半

数割れを起こしてしまいました(参院242議席のうち自公与党103議席)。

 一方、2005年9月11日、歴史に残る茶番劇、郵政民営化のための衆院選挙が行われました

(注1、注2)。このときは、逆に自民党が圧勝、2007年8月現在、衆院の自公与党は3分の2

を超える議席(480議席のうち自公与党が327議席を確保)を維持しています。与党は衆院で

これだけの議席を保有していれば、衆院を通過した法案が参院で否決されても、衆院差し戻

しで3分の2以上の賛成票で可決させることが可能となります。この現状はまさに、強烈なる

衆参ねじれ現象です。

 なぜこのようないびつなねじれ現象がおきてしまったのでしょうか。政治評論家の田中秀

征氏(2007年8月5日TBSサンデーモーニングでの発言)によれば、小泉自民党総裁時代が特別

であり、長期的な自民党凋落傾向は変わらないとのこと。すなわち、9.11郵政民営化衆院選

挙の自民党圧勝は小泉人気に支えられた特別のものであったということです。筆者は2005年

の9.11衆院選挙で国民の知性が試されると考えていました(注1)。懸念どおり一部の国民

は小泉首相の詐欺師的リーダーシップのまやかしを見抜けず、すっかり騙されたと総括する

ことができます。彼の私的怨念(郵政族、旧田中派へ仕返し)と宿願の郵政民営化のために

国民を騙したことは犯罪的であり、そのことをもっとも危惧しているのが、実は当の小泉氏

自身でしょう(注3、注9)。

 ところで、当時の小泉氏には、ポスト小泉の自民党総裁の後継者示唆権は実質的になく、

小泉氏をさんざん利用してきた米国覇権主義者のジャパン・ハンドラーの手にあり、彼らの

意中に人物は、決して安倍晋三氏ではなく、てっきり竹中平蔵氏であったと筆者は思ってい

ました(注4、注5)。ところが、彼らの意図に反して、自民党総裁候補としての竹中氏は

全国の自民党員からの人気はゼロに近く、自民党長老好みの福田氏の事前逃避もあり、やむ

を得ず経験未熟な安倍氏(血統と見栄えに勝る)の線で落ち着いたという背景があります。



2.小選挙区制のマジックに悪乗りした安倍首相

 2005年の9.11衆院選挙で与党、野党の総合得票数は拮抗していたにもかかわらず、自民党

が圧勝したかにみえるマジックは、小選挙区制導入による一人区方式に存在します。一人区

で与野党票が拮抗していた場合、野党が複数分裂していれば、野党はまったく議席を取れな

い危険があります。まさにオール・オア・ナッシングです。9.11選挙における小泉政権の成

功要因は、博報堂出身者の経営するベンチャー企業、スリード社のコンサルに従って、B層

(西欧コンプレックスがあって、構造改革賛成の有権者)の取り込みに成功した点にある

と、ネット上ではいわれています。B層はマスメディアの誘導に乗りやすいMe-Too(付和雷同

型国民)でもあります。当時の日本では、郵政民営化賛成派と反対派が真っ二つに割れてお

り、小泉政権は、その国民世論の現実を踏まえて、浮動層のうちB層の取り込みによって、大

勝利を収めたということです。自公与党が一人区で独占的大勝利をもたらした僅差の過半数

差分は、ホリエモンなどの有名人候補の党公認を乱発させて刺客選挙を煽った結果として生

まれた「小泉人気」のもたらした泡沫的上乗せ得票にすぎません。にもかかわらず、たなぼ

た式でポスト小泉の座を射止めた安倍首相は就任早々から、泡沫的な小泉人気のもたらし

た、はかない衆院3分の2以上の圧倒的多数派議席(刺客議員を含む)を踏み台にして、2006

年9月発足以来、1年弱で10数本もの法案を次々と強引な強行採決で通過させました。良識あ

る国民はこれを安倍内閣の手柄とは受け止めず、むしろ顰蹙(ひんしゅく)ものであったわ

けです。



3.小選挙区制のマジックに逆襲された安倍首相

 さて、今回の参院選挙における与野党逆転劇も、9.11衆院選挙と同じく、浮気な浮動票の

もたらす小選挙区マジックである側面をもっています。筆者にとって意外なのは、安倍政権

にあれだけの逆風(注6、注7)が吹いたにもかかわらず、2004年の参院選挙時代に比べて、

今回の参院選での自民党の得票数自体は絶対数として決して減っていないそうです。実数で

減ったのは公明、共産、社民とのこと。つまり、現代の日本には依然として、どのような政

治状況になっても、絶対に野党には投票しない頑固な保守的国民(政権交代を毛嫌いする

人々)が古層のようにしぶとく存在することを意味します。ところで9.11衆院選挙では、は

かない小泉人気に煽られた浮動票が与党に流れたのに対し、今回の参院選挙ではアンチ安倍

の方向に誘導された浮動票が民主党に流れたに過ぎません。

 安倍氏は小選挙区制のマジックに悪乗りしたことが仇となって、そのマジック(両刃の

剣)から逆襲されてしまった。自業自得でしょう。



4.安倍氏、絶体絶命:スパイ大作戦の成果か?

 政治評論家の森田実氏(森田実政治日誌2006年3月21日)によれば、民主党永田議員の偽メ

ール事件(注8)にからめて、日本の政界にはスパイ大作戦の実行部隊(おおがかりな闇組

織)が暗躍しているらしいと記されています。ということはつまり、誰かが、この闇組織に

出資しているはずです。この誰かこそが、現代日本の政治を翻弄する黒幕ということになり

ます。

 今回、参院選挙において、なぜ、浮動票がアンチ安倍に誘導されたかを分析してみるに、

安倍首相が任命した閣僚や閣外有力人物の失言やスキャンダル暴露は、おおがかりなスパイ

大作戦の実行部隊が広範囲に暗躍しないかぎり、絶対に実行できないものばかりです。しか

も大手マスコミを半強制的に動員できるほどの力を有しているわけです。浮動層をアンチ安

倍に誘導するトリガーとなった年金問題暴露にしても、閣僚政治家の経費処理不正問題暴露

にしても、問題そのものは安倍政権誕生以前から存在(潜在化)していたものです。つま

り、小泉政権時代には少なくとも存在していたはずです。その意味で、これらの各種の大小

スキャンダル暴露の連射は、安部政権を陥れる目的で意図的にタイミングを図って、巧妙に

実行されたものと考えられます。それでは、誰によって、なぜ、安倍政権が陥れられたので

しょうか。それついて筆者はすでに推理しています(注6、注7)。もし安倍氏が、上記、

ジャパン・ハンドラーの要求にしたがって、ブッシュとチェイニーの関係のように、竹中氏

を副総理に置いて、自分はブッシュよろしく、血統と見栄えで売るアクター首相としての役

割に徹していれば、今日の絶体絶命(誰かに追い込まれた逆境)はなかったのではないでし

ょうか。 

 自民党総裁就任後の安倍氏の迷走の第一歩、それは何を血迷ったか、竹中氏の入閣要求を

蹴った点にあります。つまり、安倍氏は自民党総裁に選ばれるや、手のひらを返したように

ジャパン・ハンドラーの意向に逆らったのではないでしょうか。この点が、彼らの逆鱗に触

れたということです。長州毛利家ならぬ安倍家の若殿、ああカンチガイとはこのことでしょ

う。そういえば、かつての殿様首相の細川氏は能天気にも、首相就任後の訪米時「米国と対

等に付き合いたい」と公言したためか、即、佐川急便の献金スキャンダルを暴露されて交代

させられました。安倍氏は細川氏のようにあっさり引っ込まないぞと自分に誓っているよう

です。その意味で好意に解釈すれば、安倍氏もプライドは高いのでしょう。売国的親米政治

家、岸信介(実は対米面従腹背主義者だったかもしれない)の血統と、反・東條英機で有名

な反骨の政治家、安倍寛の血筋を引く安倍晋三氏は実は、カクレ対米面従腹背主義者だった

のではないでしょうか。この点に限って一定程度、評価できますが、細川氏と同様、プライ

ドだけあって、手ごわいジャパン・ハンドラーと対峙できる実力も戦略性もまったくないと

いうことでしょう。



5.返す返すも悔やまれる「たられば」(What-If)論

 上記の年金問題と閣僚政治家の経費処理不正の二大スキャンダルが、小泉政権時代に暴露

されていても、決して不自然ではなかったと筆者は思います。なぜ、小泉政権ではなく、安

倍政権でこれらのスキャンダルが暴露されたのでしょうか。非常に不可解です。

 もし、これらのスキャンダルが小泉政権時代に暴露されていれば、2004年の改悪的な年金

改革法案(注10)も、2005年の売国的な郵政民営化法案(注2)も、衆参国会を通過して

いなかったと思われます。近未来の日本の運命は大きく異なっていたでしょう。この事実か

ら推測できることは、現代の日本政治は、日本の国益(国民にとっての公的利益)と無関係

(場合によっては国益に反する)に動いている(操作された民主主義)ということを意味し

ます。つまり、民主主義国家であるはずの日本の政治は国民以外の誰かによって、ある程

度、コントロールされていると考えられます。彼らは、小泉政権は支援したが、安倍政権を

潰そうとしていると考えざるを得ません。その意味で小選挙区制というのは、一部の有権者

に的を絞って誘導するだけで国家の政治全体を動かせる意味において、彼らにとって非常に

好都合の仕組みであるということです。そういえば米国の大統領選挙も、州ごとの小選挙区

制となっています。つまり、その州で僅差でも過半数をとった政党にすべての大統領候補票

が配分される仕組みです(得票数が僅差でも勝ち負けがはっきり出る仕組み)。



6.安倍氏、続投宣言の意味

 今回の参院選挙で自公与党惨敗結果が国民の眼前に曝される前に、安倍首相は先手(?)

を取ったかのように「続投宣言」を行いました。首相自身は(1)安倍政権を陥れようとす

る闇の勢力に敢然と立ち向かう覚悟をした上での続投宣言なのか、それとも単に(2)ここ

で辞したら父方安倍家や母方岸家の先祖に申し訳けが立たないという封建的価値観にとらわ

れての続投宣言なのか、筆者には判別がつきません(個人的には(1)を期待したい)。こ

れまでの闇の勢力による激しい攻撃に対して後手後手の対応から類推すれば、後者(2)で

ある可能性が高いといえますが・・・。もし後者(2)ならば、安倍氏への国民からの信頼

は決して戻らないでしょう。巷間で囁かれているように「自民党をぶっ潰す」立役者は、小

泉氏ではなく、安倍氏ということになります。なぜなら居座りにみえる安倍氏への国民の不

信感はやがて、自民党崩壊(国民から完全に支持を失う状態)をもたらすからです。これこ

そ、かつて細川氏をかついだ小沢氏(民主党党首)の悲願なのでしょうか。ちなみに、小泉

氏は、本音では仇敵である旧田中派(小沢氏の出身派閥)をぶっ潰そうとしただけであっ

て、自民党本体をぶっ潰そうとしたわけではありませんでした。しかしながら「自民党をぶ

っ潰す!」というアクロバット的絶叫が小泉人気の源泉であり、「死に体」自民をゾンビの

ように一時、蘇らせたのは歴史の皮肉です。

 さて、絶体絶命の安倍氏が国民の信頼を取り戻す秘策はただひとつ、それは安倍政権を陥

れようとする闇の勢力の正体を洗いざらい国民にぶちまけることです。最悪、暗殺される危

険を伴いますが・・・。松岡氏の死が自殺でなければ、それはみせしめということか?



注1:ベンチャー革命No.174『9.11衆院選挙:国民の知性が試される日』2005年8月18日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr174.htm


注2:ベンチャー革命No.176『9.11衆院選挙は茶番か』2005年9月4日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr176.htm


注3:ベンチャー革命No.177『怖くなった小泉首相』2005年9月17日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr177.htm


注4:ベンチャー革命No.179『竹中総理大臣の誕生か?』2005年10月1日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr179.htm


注5:ベンチャー革命No.183『ポスト小泉を占う』2006年1月11日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr183.htm


注6:ベンチャー革命No.233『安倍政権を攻撃しているのは何者?』2007年7月8日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr233.htm


注7:ベンチャー革命No.235『2007年夏参院選挙:進歩しない日本の民主主義』2007年7月30



http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr235.htm


注8:ベンチャー革命No.188『日本政治の親米化促進:偽メール事件の意味』2006年3月23日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr188.htm


注9:ベンチャー革命No.230『小泉シンクタンク:トヨタのスモールギフト』2007年5月13日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr230.htm


注10:ベンチャー革命No.84『年金法成立のインパクト』2004年6月6日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr084.htm




山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm

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