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山本尚利氏コラムから

ベンチャー革命2008年4月20日


                           山本尚利


タイトル:後期高齢者医療制度:日本的価値観の破壊



1.後期高齢者健康保険料の抜き打ち天引き始まる


2008年4月1日より75歳以上の国民を対象に後期高齢者健康保険制がスタート、15日に第1回目の保険料天引きが行われました。筆者にも92歳の実母がおり、その対象となっています。2月末頃、勤務先の健康保険組合から書類が来て、恥ずかしながら初めて、その制度を知りました。3月末まで母は筆者の勤務先の健康保険に加入しておりました。これはありがたい制度と思っていましたが、今後は母に支払われる年金から保険料が強制的に天引きされることになります。事実上の年金の減額、あるいは増税になります。筆者の払っている健康保険料は変わらないので健康保険組合は支払いが減ってずいぶん、助かるでしょう。この制度を喜ぶのは、産官学の健康保険組合くらいのものです。


この新保険制度の導入で、筆者がもっともショックだったのは、事前にこの制度のことを知らなかったという点です。このようなこと(抜き打ち天引き)がほかの例でも、今後も起こるのではないかという危惧があります。知らないうちに突然、給料から抜き打ち天引きされるとか・・・。突然、貯金が封鎖されるとか・・・。


さて筆者は健康保険制度上、母の扶養者になっているので、老人介護の問題にはそれなりの関心をもってきました。それでも、この制度を知らなかったことはやはり問題であり、反省しています。しかし筆者が勉強不足だったのか、それとも厚労省の怠慢なのか、今のところ不明です。はっきりいえることは、大手マスコミはこれまでなぜか、この問題を取り上げてこなかったということです。だからネット上でも、それほど注目されてこなかったのは確かです。この事実は、厚労省の説明不足なんてものではなく、意図的な隠蔽でしょう。とにかく既成事実を作ってから、詳細を公表すれば、国民は不満をもちつつも、そのうちあきらめるだろう。そしてまた、懲りずに自民党に投票してくれるはずだとタカをくくっているのでしょうか。われわれ国民はずいぶん、なめられたものです。しかしなめられても仕方のない国民がいるのも確かです。世の中の仕組みが高度で複雑になってくると、無条件に国民全員に1票与えることはやはり問題です。



2.グッドタイミング:コムスン清算・消滅


 そういえば、本山美彦[2006]『売られ続ける日本、買い漁るアメリカ』(ビジネス社)に「日本の医療市場が飲み込まれる」と警告が発せられていたのを思い出しました。2006年時点では、郵政民営化の陰に隠れて、医療の危機に筆者もそれほど注目していませんでした。同著に指摘されていることが、今、表面化してきたということです。


今回の後期高齢者医療制度の導入で思い出されるのは、グッドウィルの介護事業コムスンの清算・消滅が新制度導入の前日、2008年3月31日だったことです。思い起こせば人材派遣サービス大手のグッドウィルは1997年、北九州市の介護サービス企業、コムスンの買収により大々的に介護事業に参入することがマスコミで大きく報じられました。当時、安倍元首相と親しかったグッドウィル創業者の折口雅博氏は一時、ライブドアの堀江貴文氏と同様、マスコミの寵児となりました。近未来、高齢化社会を迎える日本の介護ビジネスの有望性が喧伝され、2004年初頭には10数万円の値をつけたグッドウィルの株価は、2007年6月、コムスンの不正請求疑惑発覚と厚労省の認可取り消し処分により、株価は1万円台に暴落しました。この一連の株乱高下は、ライブドア株の空売り操作的動きにそっくりです(注1)。


 このようなベンチャー株の乱高下には、たいていの場合、あらかじめ仕掛け人がいます。彼らは狙ったターゲット企業の“ほめ殺し”で、まずその株価を暴騰させる。そしてタイミングを見計らって突然、暴落させる。その仕掛け人は空売りでぼろもうけというのが、いつもの手口です。今回の手口は、グッドウィルの折口氏をベンチャーヒーローに祭り上げ、囃し立てて、一般投資家を引き込む。さらに折口氏を”ほめ殺し“で有頂天にさせ、全国に介護サービス拠点を構築させる。そして、それが完成したところで、グッドウィルと折口氏の公私にわたるスキャンダルを暴いて、同氏の会社を窮地に追い込んで潰す。このようなシナリオでいったい誰が得するか。いうまでもなくその仕掛け人です。ではいったい誰が損するか。まんまと踊らされた折口氏と、知らずにグッドウィル株を買った一般投資家です。仕掛け人は、空売りで大もうけ、さらにグッドウィルが構築した全国規模の介護サービス・ネットワークが格安で手に入る。今回のケースでは、コムスンの不正請求を摘発した正義(?)の厚労省が、仕掛け人にまんまと利用されています。このようなシナリオは他にもあります。90年代後半、計画的なネットバブルの発生と計画的な崩壊により、踊らされた一般投資家の資金で結果的に米国全域にインターネット・インフラが建設されました。非常に頭脳的な投資手法(合法的な騙し)です。このケースではネットバブルに踊らされた世界の投資家(アラブ投資家含む)が大損しました。最近のサブプライム・ローンも似たり寄ったりの手口であり、仕掛け人は大もうけしているはずです。



3.天唾:小泉フィーバーに踊ったお人好し


2008年3月末、コムスン問題が決着したところで、タイミングよく後期老齢者医療制度が導入されています。この制度は、従米一本槍の小泉内閣のとき、2005年9月11日の郵政民営化選挙で、自民党が大勝し、その勢いを利用して自公与党の強行採決で決まった世紀の悪法であることは間違いありません。当時、小泉フィーバーに踊らされた全国のお人好し、お年寄りにとって、まさに天唾となってしまいました。反小泉有権者は、政治的無関心層の自業自得だと手厳しい。


ところで、2008年4月20日朝のフジテレビ「報道2001」という番組にて、厚労省は平成24年度までに長期療養病床を現在の35万床から15万床に減らす計画であると報じていました。このニュースを聞いて平気な人はいるでしょうか。誰でも、明日、大病するかもしれないのです。そこに出演していた与党政治家は、その代わり、民間介護サービスの病床を増加させると発言していました。コムスンの構築した全国介護サービス・インフラがいかにおいしい資産か、この与党発言から読み取れます。この意味で、後期高齢者健保スタートとコムスン資産の乗っ取り劇は見事にリンクしています。


いずれにしても与党政治家も厚労省官僚も誰かの筋書き通りに動いているにすぎません。彼らには、一事が万事、国民の老後のことなど、はなからまったく念頭にないのです。これほどコケにされて、ようやく多くのお人好し国民は騙されていることに気付き始めたようです。その意味で後期高齢者医療制度は、国民に真相をわからせるにはもってこいの制度ですが、世直しがどれだけ期待できるか、依然疑問ではあります。筆者は一部の国民(アパシー層)を絶望的に信用できなくなっていますから。



4.長寿世界一の日本の健康保険制度の破壊を企むのは誰か


今回の後期高齢者医療制度の仕掛け人の究極の狙い、それは戦後日本の伝統的価値観の計画的破壊の一環であると筆者は思います。仕掛け人のパペットだった小泉氏のスローガン「自民党をふっこわす!」とは一言、日本的価値観の破壊だったのでしょう。筆者の認識は、仕掛け人(見えない加害者)は戦後、一貫して、日本をハラスメント攻撃しているというものです。これこそ、新しいタイプの戦争そのものです。


さて上記、コムスン清算・消滅の仕掛け人は、将来、日本に米国の大手HMO(Healthcare Maintenance Organization)系企業を参入させて日本の介護サービスを完全支配しようと企んでいる可能性が高いわけです。すでに日本市場に参入済みの米国大手生命保険会社と連携してくることも予想されます。老後の不安が消えない国民は、せっせと保険に入ってくれるのですから彼らは笑いが止まりません。仕掛け人にとって、後期高齢者医療制度は、国民を安心させるどころか、むしろ不安に陥れることを狙っているとみなせます。反国民的厚労省官僚は催眠術にかけられているとしか言いようがありません。この制度は、消費性向より貯蓄性向の強い日本人の国民性を十分、計算した上で、米国政府の対日年次改革要望書(日本の医療改革に関して米国の医薬・保険業界の圧力を代弁しているといわれる)に沿って、設計されているようです。仕掛け人のターゲットは、裕福な高齢者のみであり、持てる資産を子供に相続させず、できるだけHMOが召し上げることを狙っているでしょう。一方、貧乏な高齢者のことは当然、視野にない。この点は現在の荒んだ米国医療の実態そのものです。


ところでコムスン清算直前、米国防衛企業大手のユナイテッド・テクノロジーHGが折口氏を追放した後のグッドウィルの買収に走っています。ここまでくると魑魅魍魎の跋扈そのものです。ちなみに、日本に参入している米国生命保険会社の多くは日本のテレビ局の大スポンサーです。そういえば、このところ病気の怖さを助長するような悪趣味のTV番組が増えました。


 上記のような状況から、いずれにしても厚労省は何者かに踊らされているとしか思えません。なぜなら一連の厚労省の厚生福祉政策の根底に、米国型競争原理主義思想が流れているからです。多くの国民が後期高齢者医療制度を「姥捨て山」制度と怒っているのはそれにようやく気付いたからです。しかしながら、この制度は元々、2005年、小泉首相を熱狂的に支持した一部の国民の愚かさのもたらした災いですから、なんとも歯がゆいことこの上ないわけです。小泉政権は古き良き日本人の価値観を破壊する危険を秘めていたことを今頃、気付いても、もはや手遅れですが・・・。日本の厚労省が真似している米国の厚生福祉政策はマイケル・ムーア監督の「シッコー(Sicko)」という映画で明らかなように、徹底的な弱肉強食思想で貫かれています。いわゆる“無駄飯喰らい(Useless Eaters)”の抹殺思想です。ところでマイクロソフトのビル・ゲイツと日夜、闘っているシリコンバレーのヒーロー、米国の良心のシンボル、ジム・クラーク(注2)は、日本より国民皆保険制度の遅れている米国のヘルスケア・サービスの充実を目指してヘルセオン(Healtheon)という医療情報ネットワーク・サービスのベンチャーを1996年に立ち上げましたが、1999年、ビル率いるマイクロソフトの出資するWebMDに吸収合併されています。何ということでしょうか。



注1:ベンチャー革命No.184『光クラブ二代目の悲劇:ホリエモン』2006年1月16日


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr184.htm


注2:ベンチャー革命No.258『ジムとビルの決闘:マイクロソフトのヤフー買収』2008年4月12日


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr258.htm



山本尚利(ヤマモトヒサトシ)


hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm


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