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山本尚利氏コラムから





ベンチャー革命2008年6月21日


                           山本尚利


タイトル: 消費税の増税:福田首相の自爆テロ





1.福田首相、消費税の増税を示唆


福田康夫首相は2008年6月17日午後、都内で主要8カ国(G8)通信社幹部のインタビューに応じ、消費税について「日本は世界有数の高齢化社会だ。その国が消費税5%でやっている。だからこれだけ財政赤字を背負っている。その辺のところを決断しないといけない。大事な時期だ」と述べ、消費税の税率引き上げは不可避との認識を表明しました。


このニュースの反響は大きく、本件に関するブロガーの投稿が急増しています。ブロガーの反応はおおむね「消費税の増税を云々する前に、与党政治家や官僚の税金無駄遣いの撤廃と歳出の節減が先だ。今のままでの消費税の増税は穴のあいたバケツに水を入れるに等しい」というものです。地方のゼネコン(与党政治家の支援者)を養うための不要不急の公共事業支出7兆円、国民には無用の天下り法人の乱立と税金の浪費(4700法人、2万8000人の官僚天下り、12兆円もの血税浪費、2006年度)、5000万件もの記録漏れが発覚している杜撰な年金制度、増え続ける国民医療費(33兆円、平成17年度統計)の削減(2008年度2200億円削減が決定)のための後期高齢者医療制度の導入など、国民の利益に反することばかりが行われている中で、日本国首相から消費税の増税を示唆されて、大喜びするおめでたい納税者は日本にひとりもいないと信じたいところです。


福田首相が海外メディア向けに発言した内容で、ブロガーをもっとも怒らせているのは、日本の消費税5%は、欧米先進国と比較して税率が低いと述べた点にあります。この発言は、欧米コンプレックスの抜けない多くのお人好し国民に、消費税を欧米並みに10~15%にされてもしょうがないと思わせる効果があります。欧米各国ではぜいたく品に10~15%の消費税がかけられていますが、生活必需品への課税は制限されるか免除されています。また、欧米では消費税の還元用途が国民に明確に示されています。つまり政府と国民の間で合意が得られているのです。一方、日本は徴税官僚や政治家に「税金は取ったが勝ち」という発想があるため、消費税はかならずしも国民に還元されないし、国民は「取られ損」という反感が消えません。





2.日本国民の税負担は欧米に比べて低いが、預貯金を流用されている


国民に課せられる税金に関して、財務省は欧米先進国と比較して日本の所得税率は低いと宣伝しています。政府統計を信用すれば、それは確かです。それなら、なぜ日本政府はこれまで日本の税率を欧米なみに上げなかったのでしょうか。税金に関して、日本の場合、政府と国民の間に信頼関係はないに等しいからです。国民心理には江戸時代の年貢の感覚が残っています。そのため、日本で増税しようとすれば、ときの政権の支持率が確実に急落するので、結局、日本政府は国民の目に見える税率(所得税率や消費税率)のみを下げざるを得ないのです。ただし、酒税、タバコ税、ガソリン税、高速道路料金、車検など、国民の目に見えにくい間接税をもしっかり徴収しています。ちなみに、最近、ガソリン税に租税以外に暫定税が上乗せされていることが発覚しました。このように税制に関して、日本政府は国民に隠していることがいっぱいありそうです。しかしながら、日本政府にとって、それでもまだ税収は不十分です。なぜなら毎年50兆円規模の税収で、80兆円規模の一般会計予算を組んでいますから。日本政府はその差額(不足分)を国債発行による歳入で埋めています。この意味で日本の財政は実に不健全です。その結果、日本政府の債務残高(850兆円、2008年3月末)のGDP比は2007年180%弱(欧米先進国は50~80%)と断トツです。つまり日本政府はわれわれの預貯金をこっそり流用して、税収不足分を穴埋めしています。要するに、国民の目に見える税率を低く抑えて、国民の目に見えないところで、しっかりわれわれの国民資産が流用されているわけです。だまされてはいけません。欧米先進国の政府が日本政府のようなウラ技を使えば、国民の大暴動が起きるでしょう。それに比べて日本国民はどこまで能天気なのでしょうか。





3.日本政府はなぜ増税したいのか


さて日本政府は戦後、郵貯など(元)国営金融機関の資金運用や財投債発行を通じて米国債を購入し続けていますが、その残高総額は公表されていません。一説によれば4兆ドル以上(500兆円規模)と推計されています(注1)。財務省統計を分析すると、小泉政権時代(2001年~2005年)の5年間における日本政府債務残高の増分と一般会計公債累計の差額は120兆円を超えています。また1999年から2008年までの10年間の債務残高増分と一般会計公債累計の差額は144兆円にのぼります。この大半は、米国債の購入に当てられていると推測されます。なぜなら、2008年3月末、日本の外貨準備高は公表された分だけで1兆ドル(120兆円、1999年から2008年の平均ドル相場は120円)だからです。このように財務省の公表している統計数字は辻褄が合うようにしてあります。一方、米国連邦政府は2007年11月、連邦政府債務残高は9兆ドルに達した(ブッシュ政権発足当時の2001年は5.6兆ドルだった)と発表しています。日本政府が保有している米国債累計(長期債含む)が4兆ドルから5兆ドルとすれば、連邦政府債務の約半分を日本国民が実質的に負担させられているわけです。念のために言えば、米国連邦政府財政の赤字をわれわれ日本国民が穴埋めする義理はどこにもありませんし、われわれはそれに同意した覚えもありません。しかしながら、米国連邦政府の財政は万年、大赤字ですから、日本に返済する目途はたっていません。ここが大問題です。ここまで説明すれば、日本政府がなぜ、増税を必要としているか、幼稚園生にもわかることです。上記、福田首相の「日本は高齢化社会だが、消費税率が低いから財政が赤字だ」というのは、まったくの詭弁です。首相よ!お人好し国民を子供だまししてはいけません。われわれ日本国民が大人なら、こんな詭弁にだまされないはずです。福田首相が日本国民に増税をお願いするなら「日米政府の財政は運命共同体のごとく結合させられているので、米国連邦政府の財政を破綻させないため、日本の増税が必要だ」と国民に正しく説明すべきです。日本が今日あるのは米国のおかげであるのも一面、真実ですから、理解を示す国民も少なくないかもしれません。





4.福田首相の無理心中型自爆テロ・シナリオ


 戦後の日本において歴史的にみても、消費税導入公約は、ときの政権の命取りとなっています。なぜなら、消費税は国民の目に見えやすい一律徴税法であり、その増税は消費を冷え込ませ、景気を悪化させます。当然ながら小売業界や消費者の猛反発を招きます。福田首相がそれを承知で、あえて消費税のアップ(おそらく10%)を持ち出すことは、一種の居直りです。昨今、物価値上がりで家計が苦しくなっており、国民は悲鳴をあげています。この時点での消費税増税は非常にタイミングが悪く、物価値上げに追い討ちをかける暴挙です。もし自公与党が消費税増税を強行すれば、今度こそ国民の怒りは爆発します。小泉政権の後遺症が噴出し、その後始末に追われる福田政権の内閣支持率は20%前後であり、今後、支持率アップは望めません。しかしながら、衆議院は与党が3分の2以上の議席をもっており、参院で否決されても、衆院差し戻し再議決で消費税増税法案を可決することは可能です。今後、予想されるシナリオは、7月上旬のG8洞爺湖サミット終了後、速やかに消費税増税法案を提出、例のごとく衆院で強行突破、法案成立、国民の猛反発、解散総選挙、自民党惨敗というものでしょう。福田首相のハラには、自民党の野党転落という自爆テロ・シナリオが描かれているとしか思えません。消費税増税がなくても自民党の野党転落の可能性が大なわけですから、どうせ野党に転落するなら、消費税の大増税をやって転落しようという無理心中型自爆テロです。秋葉原テロを彷彿とさせます。





5.消費税の増税は政界再編のトリガー


 このところ、自民党は小泉一派の「上げ潮派」(消費税増税反対)とそれ以外の「財政再建派」(消費税増税賛成)に分裂し始めています。本件に関して、筆者は2004年に親米党と愛国党の対立軸で政界再編が起こると予想しました(注2)。自民党内の親米派(上げ潮派)が、民主党内親米派と野合して、親米新党が生まれるというシナリオです。上げ潮派の新党立ち上げ戦略とは、消費税増税反対と官僚攻撃キャンペーンです。いかにも国民が飛びつきそうなおいしい公約です。この上げ潮派を闇から支援しているのは、いうまでもなく米国覇権主義者のジャパンハンドラーです。彼らの企みは、まず福田首相に自爆テロをさせて、自民党をいったん分裂・解体し、新たに、上げ潮派をコアにした親米党を政権党に育てることです。ジャパンハンドラーの究極の狙いは、日本に小泉政権以上に完璧な親米隷属政権を確立し、まず日米政府の財政の財源をツーカー(一本化)にする。次に500兆円規模の対日債務をムニャムニャにして踏み倒すと同時に、今後も米国財政の赤字をわれわれ日本国民の資産で穴埋めする体制を構築することです。さらに上記、上げ潮派の官僚攻撃キャンペーンは、米国連邦政府の対日債務の秘密に精通する日本の財務省官僚の制圧と駆逐を狙ったものであることは明らかです。今後、活発化する上げ潮派の官僚攻撃キャンペーンにうかうか踊らされてはいけません。小泉首相が、自民党内の愛国派や非・親米派を抵抗勢力として攻撃・駆逐したのと同じ手口が使われています。福田首相の増税発言の背後に控えるジャパンハンドラーの壮大な企みにわれわれは早く気づくべきです。





注1:副島隆彦『ドル覇権の崩壊』徳間書店、2007年、35ページ


注2:ベンチャー革命No.089『親米党と愛国党という対立軸の提案』2004年6月23日


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr089.htm





山本尚利(ヤマモトヒサトシ)


hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm







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